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【サッカー】ザック監督 U―21練習試合視察 G大阪・宇佐美が猛アピール2010年10月21日 紙面から 11月のアジア大会(中国・広州)に出場するU−21(21歳以下)日本代表が20日、大阪府吹田市でG大阪と練習試合を行い、1−1で引き分けた。1点を追う後半23分にFW工藤(柏)の得点で追いついた。関塚監督就任後初の対外試合、しかもA代表のザッケローニ監督が視察に訪れたが、発奮したのはU−21日本代表ではなくG大阪で先発したMF宇佐美貴史。早期の引き上げが有力視される18歳は「プレーの中では(同代表は)レベルが高いとは思わない」と強気に言い放った。 前半45分間のプレーで得点もアシストもゼロ。約300人の観衆から送られた拍手はまばらだったが、宇佐美が手にした収穫は大きかった。「(U−21代表でも)やれる自信はもともとあったけど、あの世代でポジション争いで勝っていく自信はあります。今日の試合で、あの世代に入ってもやれる手応えをつかみました」 U−21代表の立ち上げ戦。ザック監督の初視察もあって注目度は高まった。相手にJ1のレギュラー格はいない。1つ下の世代であっても、自分こそがロンドン世代で中軸、エースを担うべき存在と自覚している宇佐美は、中盤の左サイドで先発出場すると、持ち前のスキルフルなボールタッチで相手を翻弄(ほんろう)。「まるでプレッシャーを感じなかった。ボールを奪われる気はしなかった」。ドリブル、ワンツーで何度も突破を仕掛け、脅威となり続けた。 失敗を糧に、確かな成長の足跡がある。U−19日本代表で出場したアジア選手権では、準々決勝で韓国に敗れ、U−20W杯の出場権を逃した。中国のピッチで号泣したのはわずか9日前。G大阪の西野監督は「反発心、悔しい思いをしたことがフィードバックしている」と、宇佐美の進歩を感じ取っている。 「ビックリした。セリエAのトリノ、ユベントスにおった人。それが今、吹田にいるなんて!」。視線の先にはザック監督。臆(おく)するのではなく、燃える。ほどよく勝負の怖さを知った男が、「ロンドン経由ブラジル行き」への歩を踏み出した。 (松岡祐司)
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