「練習試合、G大阪1-1U-21日本代表」(20日、G大阪練習場)
サッカー日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)が20日、アジア大会に出場するU‐21日本代表とJ1・G大阪の練習試合を視察し、G大阪MF宇佐美貴史(18)に熱視線を送った。視察後には珍しく個人の評価に言及し、大絶賛。Jリーグでもブレーク中の若武者に、飛び級でのA代表入りの可能性が浮上した。また関塚ジャパンの“初陣”となったU‐21代表の練習試合は、1‐1で引き分け。同代表は26、27日にも関東で短期合宿を行う。
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紫のセーターで秋の装いのイタリア人指揮官の目の前で、“お目当て”が躍動した。左MFで先発したG大阪MF宇佐美は得点こそ奪えなかったが、序盤から巧みなサイドチェンジなどでチャンスメークすると、守備ではU‐21のMF山崎からスライディングでボールを奪取するなど、“ザック”好みの攻守の切り替えの速さを披露した。
「今日、練習行く時に来るって知った。セリエA結構見るんで、トリノにおった人が吹田におんねやと思って、不思議な感じでしたね」とあっけらかんと話したが、日本サッカー界の至宝と呼ばれる男が、そのポテンシャルを示した。
これには、普段個人の評価を避ける代表指揮官も、思わず冗舌になった。直前にU‐21の選手について「個人の話はしない」と話したにもかかわらず、宇佐美のプレーに話が及ぶと「今日は練習試合なんで評価はしづらいが、これまでG大阪の試合を見ていて、非常に面白い選手だと感じている。技術的にも高いし、まだまだ伸びしろもあるだろう」と、いきなり賛辞を並べた。
評価を伝え聞いた宇佐美は「若くて、試合に出てれば、誰でもそういう評価になると思う」と、あくまで冷静に受け止めた。それでも、今月のU‐19アジア選手権で敗れて来年のU‐20W杯の出場権を逃し「あの悔しさは世界でしか晴らせない」と話す若武者にとって、次なる目標は“飛び級”でのロンドン五輪代表、そしてA代表入り。
「今日、U‐21とやって、この世代でもポジション争いで勝てる確信が持てた。でもA代表に入れば、当然五輪には出れる。周りから『あいつを呼ばないと』と言われるぐらいの結果を残していく」。右肩上がりの進化を続ける18歳が、サムライブルーに名を刻む日はそう遠くないはずだ。