阪神が今オフのFA権行使が見込まれるロッテ・小林宏之投手(32)の獲得調査に乗り出すことが20日、明らかになった。阪神側は小林宏がメジャーだけでなく、国内球団への移籍も視野に入れている情報を水面下でキャッチ。この日、大阪市内の電鉄本社で行われたオーナー報告で2年契約が決まった阪神・真弓明信監督(57)が今オフの投手補強を熱望したことを受けて、今後、本格的な調査を進める構えだ。来季Vに向けて真弓阪神が、課題の投手陣強化に動き出す。
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オーナー報告を終えた真弓監督は来季に向けた投手補強の必要性を熱く説いた。「他球団に比べても防御率が悪い。若い投手に出てきて欲しいが、ドラフト、FAでも何とか補強したい」。今季は最後まで先発6人目が確立できず、球児、久保田らリリーフ陣に大きな負担を強いた。投手陣の底上げなくして、来季のVは見えてこない。そんな真弓阪神がひそかに動向を見守っているのが、ロッテの守護神・小林宏之である。
かねてから小林宏はメジャー挑戦を希望しており、国内FA権を取得した昨季は権利を行使せずに残留した。今季は念願の海外FA権を取得。今オフは権利行使でメジャー移籍を模索することが規定路線とみられているが、阪神側は「国内移籍の可能性もある」という情報を水面下でキャッチ。今後、本格的に獲得調査を進める構えを見せている。
先発も抑えもこなせる小林宏は、阪神にとって魅力あふれる存在だ。抑えに本格転向した今季は29セーブを挙げ、ロッテをCS突破に導く原動力ともなった。また07年まで3年連続2ケタ勝利を挙げるなど先発投手としての実績、経験も申し分ない。先発、リリーフの両面で大きな期待を寄せられる右腕だ。
CSを突破した小林宏は去就に関して、日本シリーズ終了まで言及しない姿勢を示している。阪神側はメジャー挑戦が最優先なのか、国内球団移籍の可能性がどれだけあるのかを今後慎重に調査していく。メジャーと両天秤(てんびん)の形になるならば争奪戦に参戦しない可能性もあるが、メジャー球団からオファーがなかった場合なども見据えて準備を整える。
今オフはFA権行使が予想される投手が少ない事情もあるだけに、小林宏に注ぐ視線もまた熱い。現時点では今後の調査次第、ドラフト指名の結果含みという条件付きにはなる。だがすべての条件がそろった時、真弓阪神は迷うことなく獲得に動きだす。