記者会見で前原外相を厳しく批判した中国外務省の胡正躍次官補=21日、北京市内(共同)
【北京共同】中国外務省の胡正躍次官補は21日の記者会見で、中国に厳しい姿勢を取る前原誠司外相について「毎日のように中国を攻撃する発言をし、口にすべきでない極端なことも言っている」と厳しく批判した。その上で今月末の開催に向け、日中両国が調整しているハノイでの首脳会談について「実現に必要な条件と雰囲気」が欠けているとの認識を示し、外相発言と絡めて日本側を強くけん制した。
次官補クラスの中国高官が名指しで前原外相を批判したのは初めてで、首脳会談を前に「前原氏外し」を仕掛けてきた可能性がある。首脳会談については、ぎりぎりまで日本側の出方を慎重に見極める構えだ。
次官補の言う「中国を攻撃する発言」とは、前原外相が18日の国会答弁で、漁船衝突事件を受けた中国側の対抗措置を「極めてヒステリック」と発言したことなどを指している。前原外相は21日にも、沖縄県・尖閣諸島をめぐり中国の故トウ小平氏が提唱した領有権問題の棚上げ論について「日本が合意した事実はない」と述べている。
次官補は一方で「中日は重要な隣国で、われわれは中日関係を非常に重視している」と強調した。