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08年9月に急逝した映画監督・市川準さん(享年59歳)の秘蔵っ子が、3年越しに映画初主演の夢をかなえた。23日公開の映画「森崎書店の日々」(監督・日向朝子)のヒロインを演じる菊池亜希子(28)は、市川さんが亡くなる直前まで準備していた映画に主演するはずだった幻の主演女優。スポーツ報知の取材に、市川監督やあこがれの名女優・原節子(90)への思いを語った。
はっきりとした目鼻立ちや清楚(せいそ)なたたずまいは、確かに引退した伝説の銀幕スターをほうふつとさせる。「うちの母にちょっと似ていて、私も平成顔ではないとよく言われます」
その魅力を誰よりも早く見抜いていたのが市川監督だった。幻に終わった太宰治原作の映画「ヴィヨンの妻」で、自身が演出したCMで目に留まった菊池をヒロインに抜てきした。「そのままで現場に来てほしい」と声を掛けられ、台本を読み込み、所作の勉強もし、これからという時に脳内出血で倒れたという知らせが入った。
「覚えてないくらいパニックになって…。状況を理解するのにだいぶ時間がかかりました」。告別式で、監督の夫人がひつぎから1冊のノートを取り出した。菊池への期待がつづられていた。「すごく楽しみにしてくれていたみたいで。その思いを常に胸に抱いて頑張れる気がしました」。当時を振り返ると、今も涙があふれてくる。
3年越しの映画初主演となった「森崎書店―」では、失恋で会社を辞め、叔父(内藤剛志)が営む神保町の古書店の手伝いをすることになったヒロインを演じる。叔父が大事にしていた1冊の本を読み、重大な決意をするシーンでは台本にはなかった涙が流れていた。
「人にものを言えず、ため込む性格が私にも似ていたから自分のことのようで。あの瞬間、『私、大丈夫かもしれない』って浄化された気がした。思った以上に主演のプレッシャーはあったのかも」
高校生のころは長身(173センチ)がコンプレックスだったが、友人の勧めでモデルになった。大学では都市設計の勉強に励み、街を探訪するイラストエッセーで表現の楽しさを知った。「女優への興味もありましたが、モデルとの両立はずるい気がして。言い出せなかった」
大学卒業後、女優の仕事が来た時は「やりたいです」と即答した。「奥ゆかしい」という言葉が座右の銘。「『おしとやか』は間違い。本来は『深みと品位がある』という意味だと聞きました」
良いお手本がある。「ヴィヨン―」が決まった後に見た小津安二郎作品の中の原節子だ。「あの時代の立ち居振る舞いってなかなか表現できるものではないけど、どんな役柄でも、その先を想像させる人になりたい」。印象的な瞳の奥に、日本映画の系譜はしっかりと受け継がれている。
◆菊池 亜希子(きくち・あきこ)1982年8月26日、岐阜県生まれ。28歳。千葉大卒業後、雑誌モデルを経て、映画「東京の嘘」(監督・井上春生)で女優デビュー。現在、TBS系ドラマ「クローンベイビー」(金曜・深夜0時20分)に出演中。また小学館の雑誌「PS」でエッセー「菊池亜希子の道草」を連載中。身長173センチ。特技・フルート。
(2010年10月21日06時06分 スポーツ報知)
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