耳かき店店員ら女性２人の殺害認める

　東京都港区の民家で昨年、客として通っていた耳かき店の店員江尻美保さん（当時２１）と祖母鈴木芳江さん（同７８）を殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職林貢二被告（４２）は１９日、東京地裁（若園敦雄裁判長）の裁判員裁判初公判で起訴内容を認めた。裁判員は女性４人、男性２人。

　争点は刑の重さ。検察側は１９８３年の最高裁判決で示された死刑適用基準（永山基準）に照らし、死亡者数や犯行の残虐性などから裁判員裁判で初めて死刑を求刑する見通し。裁判員らは厳しい判断を迫られそうだ。

　林被告は「被害者の方に取り返しのつかないことをして申し訳なく思います」と謝罪した。

　冒頭陳述で検察側は「被告は江尻さんに一方的に恋愛感情を抱いていたが、昨年４月に来店を拒まれ、翌月から江尻さんの自宅近くで付きまといを繰り返した。受け入れられず憎しみを募らせ殺意を抱いた」と指摘。弁護側は「深く後悔し、反省している」と訴えた。

　検察側は「家庭をめちゃくちゃにされた。絶対に許せない」とする江尻さんの父（５７）の供述調書を朗読。裁判員の手元のモニターに映した遺体の写真はショックを和らげるため、白黒にする配慮がされた。

　閉廷後、補充裁判員の男性１人を解任。理由は明らかにしていない。

　１０月２５日の第５回公判で結審し、２９日まで連日評議。土日を挟んで１１月１日に判決の予定。

　起訴状などによると、被告は昨年８月３日朝、江尻さん宅に侵入し、同居の鈴木さんの頭をハンマーで殴り首を十数回ナイフで刺して殺害。江尻さんの首を別のナイフで５、６回刺し翌月に死亡させた、としている。（共同）

　［2010年10月19日23時47分］