日本支持姿勢、鮮明に―尖閣問題でオバマ米政権
中国の海洋進出に歯止め
【ワシントン早川俊行】尖閣諸島沖で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件に関し、米政府は23日、クリントン国務長官が前原誠司外相との会談で尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であるとの見解を改めて示すなど、日本支持の姿勢を鮮明にした。米国は南シナ海の領有権問題でも東南アジア諸国寄りの立場を示しており、日本に対する支持も中国の目に余る海洋進出に歯止めを掛ける戦略の一環とみられる。
ゲーツ国防長官も23日の記者会見で、尖閣諸島は米国の「防衛の傘」に含まれるかとの質問に、「同盟国としての責任を果たす」と明言。マレン統合参謀本部議長も「われわれのコミットメントは変わらない」と述べるとともに、「同盟国である日本を強く支持する」と強調した。
オバマ政権はこれまで協調重視の対中政策を展開してきたが、逆に中国の増長を招いたことを受け、中国の積極的な海洋進出など、米国の国益を脅かす中国の振る舞いには厳しい姿勢で対処していく方針に舵を切った。
クリントン氏は7月にハノイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で、南シナ海における航行の自由は「米国の国益」であると述べ、領有権問題解決のために積極的に関与する意向を表明。その延長線で、オバマ大統領も23日、温家宝中国首相との会談で、南シナ海に関して同様の見解を示した。
オバマ政権はベトナムやインドネシアなどASEAN諸国との関係改善に力を入れている。同盟国・友好国との関係強化によって中国とのパワーバランスを維持し、海洋進出に歯止めを掛ける戦略だ。尖閣問題をめぐる日本支持もこうした戦略に沿ったものだ。
ただ、日本が中国の圧力に屈する形で逮捕した中国人船長の釈放を決めたことは、南シナ海の領有権問題にも悪影響を及ぼす可能性があり、米政府は事態を注視している。
2010/9/24 18:19
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