5年ぶりに地区シリーズを突破したヤンキース。今季契約最終年で去就が注目される松井秀喜外野手(35)はリーグ優勝決定シリーズのエンゼルス戦に向け、「自分たちのペースで試合ができれば十分に勝機はある」と自信を見せる。プレーオフ前の数日間にわたって直撃、自身初のワールドシリーズ制覇への意気込みやプライベートについて聞いた。
−−プレーオフでの抱負は
「接戦をものにできているのが今季のヤンキースの強み。でも、プレーオフはまた別の話。一つ一つ大事に勝っていきたい。ワールドシリーズ? それは行きたいけどね。まだ決まったわけじゃないから。油断しないで頑張ること」
−−起用法などについて監督からは
「別に何も言われていない。その日、監督に『行け』と言われたら行く。指示に従うだけ」
−−来季の去就問題など雑音も多い
「今はそのことは考えない。まずは今季をいい形で終えること、それからです。それにその問題は自分の力が及ばない部分もあるから、考えても仕方ないこともある」
−−打撃の調子が上がらないときなどに心がけていることや特別な調整法は
「特別な調整法などはない。普段どおりのことをやるだけ。毎日、毎試合、反省する点は必ずある。それをしっかり受け止め、かつ、あまりまどわされないようにもしている。個人の成績は、今は以前ほど気にならない。もちろん、自分が活躍して勝てれば一番うれしいけど、大事なことはチームの勝利に貢献できるよう、日々良くなっていくこと、それだけ」
−−常に冷静だが、どのように平常心を保っているのか
「うーん、別に意識していないけど(笑)。でも、常に自分にできる最大の努力、準備をしていれば、自分の中で納得できるから、何が起こっても動揺せずにいられるのでは」
−−落ち込んだときの解消法などは
「いや、ほんと、何もないです(笑)。野球で落ち込んだときは、他の何かで解消はできない。野球の落ち込みは、また良い野球をすることで晴らすしかない」
−−チームメートのジーターにはよく相談もすると聞く。他に良きアドバイザーは
「ヨギ・ベラさん(1940〜60年代に活躍したヤンキースの名捕手)には、よく話を聞きます。ほんとに面白い人で、ためになる」
−−試合前や雨の日など、よく読書している姿を見かけるが、一番好きな作家は?
「1人選ぶのは難しいな。三島由紀夫かな。とりあえず、三島は全作品読んでいる」
−−三島小説で一番好きな作品は
「『午後の曳航』ですかね。あれはいい作品だと思う。特に男には勧めたいね。え、女性には? どうかなあ、女性にはあまりお勧めの内容ではないかな(笑)」
《同作品は、少年と未亡人の母、その母と情事をする船乗り、3人の葛藤などを描いたもので、最後は少年たちが男を死に追いやる。複数映画化された》
−−そういえば赤ワイン好きと聞いた。ロッカーには「オーパス・ワン」(カリフォルニア産高級ワイン)もあった
「あはは、赤ワインは好きで、たしなみます。オーパス・ワンは確かに高いだけあっておいしいし、好きだけど、高すぎるよね。あんなに高くなくても、20ドルくらいで、おいしいのがたくさんあるじゃない? それでいいかなとも思うよね」
悲願のワールドシリーズ制覇で、勝利の美酒、オーパス・ワンのコルクを抜くことができるか。その前の関門、エンゼルスとのリーグ優勝決定戦は、日本時間17日から始まる。