2010年10月21日22時55分
大仁農場の視察報告書(上)と同農場のパンフレット(下)。そっくりの記述が続く
大分県議会の自民党議員4人が政務調査費で行った県外視察の報告書に、インターネットの旅行案内サイトの文章が盗用されていたことが21日、わかった。報告書を作成した毛利正徳県議(50)は「視察の結果を的確に伝えようとして書き写している部分があったが盗用ではなく引用だ」と話しているものの、出典は示されていない。「報告書は修正する」という。
報告書によると、毛利議員と田中利明(59)、浜田洋(67)、嶋幸一(45)の3議員は昨年4月13、14の両日、静岡県熱海市のMOA美術館などを視察。政調費から宿泊費など計25万4460円を支出した。
報告書はA4判2枚で、うち1枚に「2つほど踊り場を過ぎると、大きな円形ホールに出る。ここがまた、この美術館の見せ場のひとつで、音楽と照明とが同調して、すばらしい色彩の世界が。さらにもうひとつエスカレーターを昇ると、陽光に輝くムア広場に出る」などと書かれている。しかし、これら約200字分は旅行雑誌「じゃらん」のネットサイトの観光案内とほとんど同じ内容だった。
毛利県議によると、報告書は4議員で意見交換した際のメモや美術館の資料を毛利県議事務所の女性職員に渡して作成させた。職員は今年2月、事務所を辞めたという。
毛利県議は取材に対し、当初は「そう(盗用と)言われても仕方がない」とも述べていた。「職員と連絡が取れないので、なぜ丸写ししたかは分からないが、自分で作成しなかったことは反省している」と話している。
また、毛利県議は昨年6月9日、福岡市内で開かれた「福沢諭吉展」を視察。政調費から9310円を支出した。この視察の報告書にも、作家北康利氏の著書から約150文字分を使っていた。
大久保秀典・県政務調査課長は「無断で利用したのか、全体でどのくらいの割合になるのか調べ、政務調査費の支出が適切だったかどうか調査する」と話している。