<被害者は誰か>
取材を進めるにつれ気になるのは、耳に入る話の大半が業界や我が身の保身しか考えていないような身勝手な話に聞こえてくることだ。不景気の世、それも致し方のないことか。とはいえ、一番馬鹿を見たのは、後援会でバカ高い酵素を買わされた支援者ではないのか(ただし1口1トン630万円ということであればキロ当たり6,300円となり、酵素商品としてはむしろ市場価格よりも安めのため、却ってその品質が疑われてもくる)。それとも、だまされた消費者にも責任の一半があるというのだろうか。確かにそれもあるかもしれない。消費者には業界の情報があまりにも不足しているからだ。業界の責任も否めまい。
一方、関係者が証言するように、後援会やアニュー店などを通じ、霊感商法等を用いてブラジル酵素があたかも「万病に効く」かのように偽って販売されていたとすれば、そのことは薬事法をはじめとした関連法規に抵触するおそれがある。間接的には、健康食品をめぐる法制度上の不備がもたらした問題ともいえる。問題は複雑、かつ深刻である。
先日、東京在住の読者から相談の電話を受けた。親戚にあたる女性が酵素商品を1口購入しているというのだ。以前、解約を申し出たものの契約期間中という理由で拒否されたという。
「金額が金額だけに心配になって・・・」相談の電話をかけたものらしい。相談者がNG本社のお客様相談室に相談を持ちかけてみたが、「あいまいな対応だった」と不満げに語った。最後に、「弁護士を立ててしかるべき対応をとりたい」と決然とした声で述べたあとに電話を切った。
ある地域では7月頃、アニュー○×株式会社が「VT(ヴィンテージ)酵素オーナーシップ会員の期間満了の解約について」という文書を地域のアニュー全店に送達している。後援会メンバーによる解約の申し出にあたって、申請者に対する諒諾の優先順位を示したものである。限られた資金をどこにどう振り当てていくか、いよいよ同社も躍起になっている様子がうかがい知れて興味深い。果たして真の被害者は誰か?
【田代 宏】