奄美大島で大雨、2人死亡、1人不明＝学校などで150人孤立―鹿児島

　発達した前線が停滞していることに伴い、鹿児島県奄美地方は18日夜から大雨に見舞われており、鹿児島地方気象台の観測によると、奄美大島では20日、同県瀬戸内町古仁屋で1時間に86．5ミリ、奄美市名瀬では同78．5ミリの猛烈な雨が降った。地元の消防組合によると、同島中部の同市住用町西仲間にあるグループホーム「わだつみ苑」では、入所者9人のうち、女性2人の死亡が確認された。同島北部の龍郷町では裏山が崩れ民家が全壊、女性（88）が行方不明となったほか、男性（61）が足にけがをした。同町ではほかにも数カ所でがけ崩れが起きた。市教育委員会によると、奄美市住用町の東城小中学校で55人、市小中学校で6人、住用小で49人、住用中28人の児童・生徒が下校できず、校内に取り残されたままになっている。
　同町の特別養護老人ホーム「住用の園」でも、裏の川がはんらんし、入所者や職員約100人が避難できない状態になったが、県警などは水位が下がったことから21日未明までに、90人を救助した。
　県によると、奄美市では18日午後9時〜20日午後8時の総雨量が871ミリを記録。同市住用町の被害状況が一番ひどいといい、県は龍郷町の2世帯5人に避難指示、同市や宇検、大和両村の計1076世帯2106人に避難勧告を出した。土砂崩れや冠水などで国道や県道32カ所で通行止めとなった。自衛隊にヘリによる災害派遣要請も打診しているが、悪天候のため実現していない。
　NTT西日本によると、わだつみ苑の近くにある電話交換所が浸水したほか、瀬戸内町では土砂崩れでケーブルが切断されるなどし、奄美大島約2万9000回線中約1万2000回線が不通になった。復旧のめどは立っていないという。九州電力によると、21日午前1時現在、奄美大島の約7400戸が停電している。　

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