05年と07年にインフルエンザ治療薬「タミフル」を服用後にマンションから転落死した愛知県の中学生2人の遺族が21日、「転落死はタミフルの副作用が原因」として、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(東京都)を相手取り、被害給付金の不支給決定処分取り消しを求める訴えを名古屋地裁に起こした。
代理人弁護士によると、タミフル服用後の異常行動を巡り、これまで副作用を認めなかった同機構に遺族が慰謝料を求めた訴訟はあるが、給付金の不支給決定取り消しを求めた訴訟は全国初という。
訴えによると、05年2月、中学2年だった同県知立市の秦野晧平さん(当時14歳)がタミフルを服用後、自宅を裸足で飛び出し、マンション9階から転落死。また07年2月、同県蒲郡市の女子中学生(同)もタミフル服用後にマンション10階から転落死した。
2人の遺族は薬害の救済組織である同機構に遺族一時金と葬祭料の支給を申請したが、同機構は決定で「服用から死亡までの状況が不明で、死亡の原因が副作用と判断できない」とした。
遺族側は、タミフルの添付文書に重篤な副作用として異常行動が挙げられていると指摘。「2人ともマンションから転落する直前にタミフルを服用しており、他に異常行動を引き起こす原因はない」と主張している。
提訴後に会見した秦野さんの母竜子(りゅうこ)さん(50)は「タミフルが原因でないというなら、息子が亡くなった時に自殺を考える気持ちだったのか調べてほしかったのに調査はなかった。機構には裁判できちんと説明してほしい」と話した。
同機構は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【高木香奈】
毎日新聞 2010年10月21日 13時39分