ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 福島 > 記事です。

福島

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

県政の現場から:’10知事選・争点検証/3 医療 /福島

 ◇医師不足に解決策なく 地域で高度医療に不公平感も

 県内でも特に医師不足が深刻な相双地域。危機的な状況だった南相馬市小高区の市立小高病院(99床)は住民運動のかいあって、09年4月に外科医1人が新たに加わり、どうにか常勤医が4人になった。

 もともと、内科と外科、眼科の3医師だけだった。危機感を抱いた地元住民は08年11月、「小高病院を守る会」を結成。同年末、約1万1000人の署名を集め、県や同市に医師の派遣や、定着のための待遇改善を訴えた。守る会の高野逸夫事務局長(66)は「住民運動で常勤医を1人加えることができた。成功と言っていい」と喜ぶ。今年3月で退職予定だった眼科医の継続勤務も決まった。

 一方、別の会員は「医師4人がいつまでいるか分からず、まったく安心できない」と話す。大規模病院の施設充実を図ることで医師を呼び込む県の政策を挙げ、「医師が田舎には見向きもしなくなる。県と市が連携して対策を取ってほしい」と願う。

   ◇  ◇

 国の統計によると、県内10万人当たりの従事医師は176・1人(06年度)と、全国平均206・3人よりかなり低い。特に相双地域は110・2人と半分程度で、県内7医療圏では最低だ。

 県は今年度、医師不足を含めた総合的な地域医療の崩壊をくい止めようと、相双医療圏で総額25億円の再生計画を本格スタートさせた。救急患者を搬送する拠点病院への高度医療機器配備、へき地診療所への医師派遣システムの強化などを掲げている。

 一方、相双地域内でも医療格差があり、不満を感じている住民もいる。地域内のうち双葉地区の患者が高度医療を求める場合、相馬地区やいわき市で受診する人が多い。県は来年4月、双葉地区の双葉厚生病院と県立大野病院を統合して、地区の中核拠点にして打開する方針。再生計画でも、両病院の施設を充実させるため、多額の資金を計上している。

 これについて南相馬市の幹部職員は「県の資金配分は両病院の統合を重視している。南相馬市の病院でも、高度医療機器の購入費が補助されるが不公平感は残る。医師不足を解消する根本的な解決策にもなっていない」と批判した。県地域医療課は「不均衡な部分は確かにあるが、他の政策と併せて総合的に対応している」と説明している。【神保圭作】=つづく

毎日新聞 2010年10月21日 地方版

PR情報

福島 アーカイブ一覧

 
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド