旧東独の独裁関係者18万人、処罰をめぐる論争(下)
東ドイツに対する巨額の支援で、東ドイツ住民の電話・パソコン・食器洗浄機・ガスレンジの普及率は、旧西ドイツ地域とほぼ同じ水準にまで高まった。自動車の普及率は、むしろ東ドイツ地域(57%)が西ドイツ地域(51%)を上回った。医療システムの質も向上(人口10万人当たりの医師の数は246人から348人に増加)し、平均寿命も大きく伸びた。しかし、東ドイツ地域の失業率(11.5%、8月末基準)は、西ドイツ地域(6.6%)の2倍に達し、年間所得(1万9000ユーロ=)も西ドイツ住民の半分に過ぎず、現状への不満はより一層高まっている。東ドイツ地域の一部の都市は、統一後、200万人の若者が仕事を求めて西ドイツ地域に移住した影響で、「巨大な老人ホーム」へと転落した。
最近、統一20周年に合わせてドイツ政府が実施した世論調査で、「統一後、生活がよくなったか」という質問に対し、旧東ドイツ地域の住民の4分の3は「ノー」と答えた。また、東ドイツ住民の3分の2は、自分が「二等国民」だと自嘲している。
何より、旧共産党(社会主義統一党)独裁政権の関係者や秘密警察(国家保安省、シュタージ)など、計18万人に対する処罰要求が統一後に高まったが、その後の捜査で、実際に検察が起訴した政治犯は250人に過ぎず、このうち有罪判決を受けたのはわずか3人だった。このため被害者団体は、強力な再捜査により反人権犯罪者を処罰することを要求している。だが、統一ドイツは社会的な混乱を懸念し、個人的な報復行為を禁止すると共に、シュタージの秘密視察記録は本人のみ閲覧可能とすることを法制化した。
こうした雰囲気があるため、ドイツの統一専門家らは、内的な統一にはより多くの時間と忍耐を要し、およそ一世代かけることではじめて実を結ぶだろうとみている。ドイツ赤十字社のルドルフ・ザイタース総裁は、「東ドイツ住民は、共産党独裁政権時代の暮らしぶりを振り返り、もう少し忍耐力を発揮しなければならず、西ドイツ住民は、抑圧的体制の下で数十年間苦痛に耐えてきた同胞に対し、より暖かな目線で気配りをする必要がある」と語った。
ベルリン=金洪秀(キム・ホンス)特派員