我が国の対応としては、現行法の制約から「臨検」等実効性のある武力行使ができないため、MIOを行っている有志連合への後方支援等に限られた。これがいわゆる「協力支援活動」である。
つまり、「テロとの戦い」と同様に、従来の戦争の概念とは全く異なる非対称な戦いにおいて、我が国の現行法の範囲では、独自では十分な対応が取れないということが懸念される。
漁船を先兵とした我が国固有の領土と領域に対する侵略であったとしても、現行法の範囲では警察権の行使にとどまざるを得ないということである。
北朝鮮の「武装工作船」への対処が警察権行使の範囲に限られた「不審船対処」にとどまってきたことも、その先例である。
工作船による諜報員の潜入、麻薬密輸、偽札搬入、拉致等を犯罪のレベルで捉えるのではなく、我が国の安全を脅かす破壊工作として認識して対処すべきであった。
防衛白書の記述中に「テロとの戦い」を「テロとの闘い」、「海上阻止作戦」を「海上阻止活動」としているように軍事的色彩を極力少なくするような意図の感じられる表現が使われているが、軍事力の本質的な意義までこの矮小化された概念に縛られてはならない。
そして、非対称な戦いにも適切に対応できるよう一刻も早く法整備を行う必要がある。
中国の3戦(輿論戦・心理戦・法律戦)との関わり
中国漁船が逮捕された後の中国の対応を見ると、2003年に改正された「中国人民解放軍政治工作条例」に追加された次に示す3戦の考え方が如実にうかがえる。
(平成21年版防衛白書から)
●輿論戦=中国の軍事行動に対する大衆および国際社会の支持を築くとともに、敵が中国の利益に反すると見られる政策を追求することのないよう、国内および国際世論に影響を及ぼすことを目的とする。
●心理戦=敵の軍人およびそれを支援する文民に対する抑止・衝撃・士気低下を目的とする心理作戦を通じて、敵が戦闘作戦を遂行する能力を低下させる。
●法律戦=国際法および国内法を利用して国際的な支持を獲得するとともに、中国の軍事行動に対する予想される反発に対処する。
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