2010年10月19日22時40分
米アップルが18日発表した7〜9月期決算は、売上高、純利益ともに四半期としての過去最高を更新した。新製品が次々とヒットし、ブランド力と収益力の向上に寄与している。今後は、競争がますます激しくなるスマートフォン(多機能携帯電話)と、マイクロソフトが依然強いパソコンでシェアをどこまで広げられるかが、さらなる成長のかぎを握る。
「普通は決算会見には参加しないのだが、今回は最高決算に立ち寄らずにはいられなかった」。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は18日、電話での決算会見に突然参加し、興奮気味に自社製品の優位性を訴えた。
売上高は前年同期比67%増の203億4300万ドル(約1兆6500億円)、純利益は同70%増の43億800万ドル(約3500億円)。付加価値をいくら生み出したかを示す売上高粗利益率は37%。ライバルの米ヒューレット・パッカード(5〜7月期)の24%、米デルの17%(同期)と比べ極めて高い。
最も貢献したのがスマートフォンのiPhone(アイフォーン)。6月に発売した「4」が好調で、前年同期より販売台数は91%増えた。売上高でみるとiPhone事業はすでに全体の43%を占め、創業事業のパソコンの2倍近く、携帯デジタルプレーヤー「iPod(アイポッド)」の約6倍に達した。
iPhoneは、独自のハードと独自のソフトを組み合わせて特色の強い商品を作り、高い利益率を確保するアップルのビジネスを象徴している。ジョブズ氏も電話会見で「(スマートフォンの)勝者はiPhoneと(米グーグルの)アンドロイドになりつつある」と力を込めた。
アップルにとってもう一つの主戦場は、板状の新型携帯端末「iPad(アイパッド)」を含むパソコンだ。今年4月に発売したiPadは7〜9月期に419万台売れ、今年4〜6月期から28%伸びた。これまでこの分野でアップルはほぼ独壇場だったが、リサーチ・イン・モーションやデルなどが同様の製品を投入し始めており、今後競争は激しさを増しそうだ。(ニューヨーク=山川一基)