日本がTPP参加表明、中国をけん制か
日本政府は自国の農業団体による強い反対にもかかわらず、米国などアジア・太平洋沿岸9カ国が推進している貿易自由化協定(環太平洋パートナーシップ協定=TPP)に参加する意向を固めたようだ。
前原誠司外相は19日、日本経済新聞と米戦略国際問題研究所(CSIS)の共同主催により東京で開催されたシンポジウムに出席し、「経済外交の柱は国を開放することだ」と述べ、「わたしはTPPに参加すべきと考えている」と発言した。
前原外相は、「日本は1次産業がGDP(国内総生産)に占める割合がわずか1.5%だが、それを保護するために98.5%が犠牲となっている。開放に対して正面から向き合わなければ、日本の経済力は間違いなく低下する」とも述べた。
菅直人首相も1日に行われた国会での演説で、初めてTPPへの参加の意向を明らかにした。また、来月13-14日に横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際にも、関係国に正式に提案する方針だ。首相直属の国家戦略局はこれを推進するために最近検討チームを立ち上げたほか、経済産業省などでも検討チームが立ち上げられた。
TPPはシンガポール、ニュージーランド、ブルネイなど4カ国からスタートし、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5カ国が新たに参加の意向を表明した。中心となっているのは米国だ。2015年までに、原則としてすべての関税を撤廃することを目指しており、来年末までに交渉を終えたい方針だ。
日本がTPPに参加する意向を固めているのは、韓国や中国によるFTAの動きに刺激を受けたという側面が非常に大きい。とりわけ中国と取引を行っている国々が多数含まれるTPPの性格を考えたとき、「参加国の間には、経済安全保障を通じて中国をけん制するという目的もある」と日本経済新聞は報じている。
しかし、与党・民主党内部でも、地方選出の議員などを中心に反対の意見が根強く、実際に加入するまでには多くの困難が予想されている。全国農業協同組合中央会は19日に東京都内で集会を開き、「反対決議文」を採択した。決議文で同中央会は、「TPPに参加すると、日本の農業は壊滅的な打撃を受ける」と主張している。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員