腐敗解消が急務、「習近平時代」の政治課題(下)
中国国内の反体制勢力はもちろん、共産党の元老までもが政治改革と民主化を求める背景には、こうした共産党の慢性的な腐敗問題が存在する。習副主席が次期最高指導者に決まった今月15-18日の中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)でも、習副主席と同い年で清華大の同窓生でもある康日新・元中国核工業集団党書記が、収賄の疑いで党から除名処分を受けた。
習副主席が属する「太子党」(高級幹部の子弟)に対する拒否感も少なくない。北京の大学教授は、「中国の億万長者の相当数が革命の元老と高級幹部の子女だ。習副主席が清華大に入ったのも、特権によるものではないかとみる人が多い」と語った。習副主席が2007年から頻繁に「政権党の政権担当能力向上」「共産党の先進化」に言及しているのも、こうした危機感があるためとみられる。
革命第5世代指導部には多くの政治改革課題が山積している。中国メディアでは、肥大化した官僚体制と国営企業の改革、経済成長から疎外された農民・労働者の保護、社会・雇用・医療保護などセーフティーネットの拡充に向けた税制改革、中産階級の政治的欲求を満たす民主制度改革などが議論されている。共産党内の政治理論家として知られる兪可平・中央編訳局副局長は中国メディアに対し、「今後10年間は改革の重心が社会・政治分野にシフトするだろう」と語った。
しかし、西欧式の民主主義導入につながる可能性は高くない。ある中国専門家は「中国当局は、西欧式民主主義は『混乱』というコストが掛かりすぎるという認識を持っている。5中全会で示された通り、法治中心の政治改革を進める可能性が高い」と分析した。
■習近平氏の改革関連発言
「浙江省の活力の源は改革にある。浙江省は既に中小企業家の社会、起業家の社会となった。中間層が厚い、かめのような形のグラフで表される社会に変わった」(2006年3月、浙江省党委書記時代、中央テレビに出演して)
「流れる水は腐らない。共産党の政権担当能力は絶えず高めていかなければならない」(07年5月、上海市党委書記時代、上海市第9回党大会で)
「中国共産党は、革命政党から全国的に政権を掌握した長期政権政党へと性格を変えた」(08年9月、学習時報への寄稿)
北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員
- 習近平氏が中央軍事委副主席に 2010/10/19 08:59:41
- 韓国経済に深い関心、習近平氏の素顔 2010/10/19 09:02:59
- 習近平氏、1年前には「準備不足」と辞退(上) 2010/10/20 12:01:50
- 習近平氏、1年前には「準備不足」と辞退(下) 2010/10/20 12:01:58
- 中国の最高指導者決定の流れ 2010/10/20 12:02:31
- 【社説】「習近平時代」の中国を動かす戦略を探れ 2010/10/20 12:04:56
- 腐敗解消が急務、「習近平時代」の政治課題(上) 2010/10/21 10:19:16
- 革命第5世代、太子党の天下か 2010/10/21 10:19:50