2010年10月21日11時52分
【北京=吉岡桂子】中国国家統計局が21日発表した2010年7〜9月の国内総生産(GDP)成長率は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比9.6%だった。4〜6月の10.3%と比べてやや減速し、09年7〜9月期以来の1けた成長となった。
1〜9月の成長率は10.6%だった。金融危機後に実施した政府の景気刺激策の効果は弱まりつつあるものの、通年でも成長率は10%前後を維持するとみられている。中国政府が通年の目標としている8%を上回り、今年はドル換算した名目GDPの総額で日本を抜き、米国に次ぐ世界2位となるのがいっそう確実となった。
9月の消費者物価の上昇率は前年同月比3.6%だった。中国政府が通年の目標とする「3%前後」を3カ月続けて上回った。食品の上昇が8%と高かった。インフレを警戒する中国人民銀行(中央銀行)は20日、2年10カ月ぶりとなる利上げを実施。高成長が確認されたこともあって金融危機後初めて、金融引き締めに転じている。
政府の内需拡大策で高水準が続いていた道路や鉄道など固定資産投資は、1〜9月で前年同期より24.0%増えた。都市部の不動産投資は36.4%増となお高水準だった。
消費の動向を示す小売総額は1〜9月で18.3%増えた。新車販売なども好調で、個人消費は堅調だ。一方、外需は日米欧など先進国の景気に不透明感が漂うなか、輸入の伸びが輸出の伸びを上回っている。
中国のGDPは07年まで5年連続で2けた成長だったが、08年は金融危機で10%を割り込んだ。09年は政府の巨額の景気刺激策で9.1%増だった。