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最終更新:2010年10月21日(木) 0時5分

住宅街で大規模陥没、背景に戦中の産業

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 岐阜県御嵩町で住宅街を襲った、大規模な陥没をめぐるニュースです。毎年のように陥没が起きるこの町では、以前からその危険性が指摘されていました。それでも被害が相次ぐ背景には、戦争中に栄えたある産業の存在がありました。

 20日午前9時。それは突然、住民を襲いました。

 「ドスーンと下がったような。夜じゃなくてよかった。逃げられないし、戸も開かない」(陥没現場に住む人)

 「岐阜県御岳町の事故現場に来ています。あちらの家のブロック塀が大きく傾いて崩れているのがわかります。大きく地面が陥没しています」(記者)

 めちゃくちゃに壊された道路。崩れたブロック塀。いずれも20日朝起きた、大規模な陥没によるものです。

 岐阜市の東に位置する山間の街、御嵩町。20日午前9時ごろ、その陥没は起こりました。陥没の範囲は東西に50メートル、南北に60メートルにもおよびます。この影響で、空き家1軒を含む住宅6軒が傾きました。けが人はいませんでした。しかし住民は・・・。

 「考えられない。何したらいいか」(住民)

 再び陥没が起きるおそれもあり、5世帯17人に避難指示が出ました。避難生活は、2年近くにおよぶとの説明を受けたといいます。

 「(Q.いつか陥没する?)いつも言っとったね」
 「ゆうべ前ぶれが2回あった。ドーンドーンと、夜の8時頃に。トイレの扉が開かないし、おかしいと思ったら・・・そしたらけさ9時に」(住民)

 陥没がいつ来るか。被害住民が以前から不安を覚えていたワケは・・・・。田んぼにあいた大きな穴。道路の脇にも・・・。

 「この家の前も3〜4年前に(一度陥落が起きた)」
 「(Q.陥没はよくある?)しょっちゅう。田んぼが落ちて。しょっちゅうですなぁ」(近所の人)

 御嵩町では、おととしまでの10年間に61件も陥没被害が起きています。中には陥没が原因で、あちらこちらが歪んでしまった家もあります。去年12月KK,$M$?!":4!9LZ$5$s$N$*Bp!#%I%"$OJD$^$j$^$;$s!#O-2<$,79$$$F$$$^$9!#

 「精神的にも肉体的にも限界。いつ崩れるかもしれないという状態で、毎日眠れない状態が何日も続いている」(自宅が傾いた佐々木宏さん)

 佐々木さんはこの取材後、引っ越しました。20日陥没が起きたのは、佐々木さんの家から30メートルほどの場所です。この町ではなぜ、これほどの陥没被害が相次ぐのでしょうか。

 その答えは、この鉄製の扉にありました。中に進むと、一面に黒い岩のようなものが広がります。これは「亜炭」と呼ばれる化石燃料を掘った、地下の炭坑跡です。御嵩町のちょうど真下に位置します。

 樹木が長い歳月をかけて炭化した、亜炭。戦中から戦後にかけては石炭の代用品として使われました。この炭坑はおよそ40年前に閉じ、町の地下には巨大な空洞だけが残されました。

 その空洞の面積は市街地の80%。つまり、町全体が大きな空洞の上にあります。しかもその地盤は薄いところで、わずか7メートル。それを支えているのが、この柱なのですが・・・。

 「触ってみてもすぐ取れるというか古くなっている?」
 「風化している」

 元々直径3メートルほどあった柱は風化し、半分ほどに。その結果、上の土の重さに耐えられなくなって崩壊し、陥没を引き起こしているのです。なにか打つ手はないのでしょうか?

 「(国は)基金で鉱害の復旧を やるのが精一杯。地域の県であるとか、市町村が基本的には対応すべき問題」(資源エネルギー庁 橋口昌道石炭課長)

 いつ襲ってくるのか分からない陥没の危険に、住民はさらされ続けています。(20日23:12)

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