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【プロ野球】ロッテ日本シリーズへ 史上初3位からCS突破2010年10月20日 紙面から
◇クライマックスシリーズ パ・ファイナルS<第6戦>クライマックスシリーズ(CS)は19日、パ・リーグのファイナルステージ(6試合制)最終戦がヤフードームで行われ、就任1年目の西村徳文監督(50)が率いるロッテが7−0で勝ち、レギュラーシーズン3位チームとしては初めて、日本シリーズ出場権を手にした。第1戦で完投した成瀬善久投手(25)が4安打無四球で完封。MVPに選ばれた。日本シリーズは30日に開幕。5年ぶり6度目の出場のロッテとセ・リーグCS勝者が対戦する。 ◆ロッテ7−0ソフトバンク“和の野球”が大輪の花を咲かせた。故郷・九州の地で西村監督が舞った。1回、2回…、3回目をやろうとしたとき、選手の呼吸が合わず上がらなかったが、こんな胴上げも心地いい。もう1敗もできないがけっぷちから3連勝。史上初めてのシーズン3位からのCS制覇を成し遂げた。 耳にはロッテファンの雄たけびが聞こえ、頭には自らをプロに導き、今は福岡で眠る故田中久寿男スカウトの顔が浮かんだ。万感の瞬間だった。 「最高の気分です。ここまで、選手を信じてやってきた。それに応えてくれた。みんなで一つになった“和”の結果だと思います」。涙はなく感無量の表情。左翼席の前で主将の西岡と肩を組み、応援団が奏でる「歓喜のテーマ」に調子を合わせた。“和の将”らしい光景だった。 開幕前の予想は最下位が大半。CSでもソフトバンク有利との声の方が大きかった。しかし、西村監督は屈しなかった。負けじ魂とロッテ愛が心の支えだった。全員が絶対にあきらめない“和の野球”を信じた。 西村監督の座右の銘である「七転八起」さながらの1年だった。レギュラーシーズンでは、何度も窮地に追い込まれた。「失敗したら、使った監督が悪い」と語っていたが、ストレス続き。「勝ちたい」とカツ丼をかきこんだり、「相手をのみ込む」と対戦チームの特産品を使ったラーメンを独りですすったこともあった。しかし、信頼だけは失わなかった。9月24日。練習前に選手を集め、こう言った。「もう一度集中し、“和”の通りに絶対に勝とう!」。全員の力を結集したミラクルで窮地をはね返してCS切符をつかんだ。そしてCSでも、何度も絶望のふちからはい上がり、とうとう史上初となる3位チームからの日本シリーズを果たした。 次の仕事は、当然日本一ゲットだ。川崎球場で三冠王・落合博満がひたすらバットを振り続けた姿に「努力をしないといけない」と手本にした西村監督。これからも選手を信じ、日本一の座を目指して勝利への努力を続ける。 (川越亮太)
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