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スポーツ報知大阪版>コラム>辛坊治郎のこれでいいんかい!?

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ネット上の「祭り」=ニュースにあらず

 この仕事をしていると、時々「祭り」に遭遇します。祭りといっても天神祭ではなく、ネット上で盛り上がるあの「祭り」です。私も、カス政治家の批判などすると、まれに「祭り」の喧騒(けんそう)に巻き込まれることがあります。そんなときって、結構うれしいんです。特に、予想通りの反応が起きると「キター!!」って感じです。

 逆に、想定外の「祭り」に出合ってびっくりすることもあります。先日、視聴者の方にこう言われました。

 「きのう、ユーチューブの1位に辛坊さんの発言があがってましたね」

 「え? 全然知らない」

 「ほら、尖閣デモの解説をしたでしょ?」

 これは意外でした。先週、朝の番組で、相方・森たけしアナにこう聞かれたんです。

 「(今月2日に)渋谷で行われた2600人の尖閣デモをCNNなどの海外メディアが報じているのに、どうして大マスコミは取り上げないのかという質問が来ているのですが?」

 正直、そんなデモがあったことすら知らなかったので「多分、土日は取材スタッフが少ないからなんじゃないの」なんて、何にも考えず答えたんです。これが「祭り」になったんですね。

 都市部では2000人どころか、1万人規模のデモもそれほど珍しくありません。でも、それらがニュースになることはメーデーなどを除けばほとんどないのです。なぜなら、それを単独で取りあげることは、特定の主張の宣伝に加担することになるからです。

 放送法は、局に政治的公平性を義務付けています。デモがニュースになるのは、対立意見を含めて大きな枠組みの中で伝えるか、あるいは「付加価値」が付いたときです。

 今回のデモで言えば、参加者が暴徒化するとか、中国人留学生の一団と乱闘騒ぎになっていれば、まず間違いなくニュースになったでしょう。中国のデモ隊のように商店に投石すれば、いくらなんでも無視できません。あ、別にそそのかしているわけではありませんよ。

 どうも一部ネット住民の皆さんは、自分たちが行動を起こせばそれがニュースになると思いこんでいる節があるんですが、それは単なる勘違いです。ただ、私が今回のニュースの責任者なら、取材に行っていたと思います。うそだと思うなら、次に何か大きな事をやるときはぜひ事前に連絡をください。私だけにね。(大阪綜合研究所代表)

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(2010年10月20日12時34分  スポーツ報知)

筆者略歴  辛坊 治郎(しんぼう・じろう)

1956年4月11日、鳥取県・米子市生まれ。54歳。早大法学部卒。80年、読売テレビにアナウンサーとして入社。ニューヨーク駐在員、報道局解説委員長などを歴任し、今年9月末で退社。現在はフリーキャスター、芦屋大学客員教授、自身が設立したシンクタンク「大阪綜合研究所」代表。家族は妻と2男1女。

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