空港内にテーマパーク
24時間国際拠点(ハブ)空港を目指して21日、羽田空港新国際ターミナルがオープンします。
世界の航空会社17社の国際便が就航するターミナルは、江戸の町並みを再現したショッピングエリア「江戸小路」、展望デッキ、プラネタリウムカフェ、キャラクターコーナーなど娯楽施設満載の史上初「空港内テーマパーク」として話題を呼びそうです。
その出来栄えはどうなのか? 視察したテーマパーク・遊園地評論家の佐々木隆さん(48)=All About 遊園地公式ガイド=に辛口採点して頂きました。
国内約百カ所の遊園地・テーマパークを取材して来た佐々木さんの目に、空港テーマパークはどう映ったのでしょうか。「大成功した東京ディズニーランド(TDL)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を別格として、首都圏で(合格点の)80点をつけられるのは、新横浜のラーメン博物館、池袋のナンジャタウン、お台場の大江戸温泉物語など。羽田の出来は77点ぐらいでしょうか」。
合格点にわずかに及ばなかったのはなぜ? まずは、4階に設置された目玉スポットの商業エリア「江戸小路」へ。中央には漆調の江戸舞台を設置。家屋にはベニアではなく、日本家屋用の厚みとぬくもりのある木材を使用している。瓦は古来から重用されてきた淡路島特産の日本瓦だ。歌舞伎小屋は、すべて歌舞伎役者の中村勘三郎の監修によるもの。飲食店、物販店店舗が「和」へのこだわりを示しています。
佐々木さんは「本格派をうたうだけのことはある作りです。外国人利用者にも受けるし、全体の好印象につながる」と評価した上で「できれば(保安エリアを除く)4階すべてを江戸にしてしまうくらい徹底して欲しかった。楽しいけど、もう終わり? という感じも。店舗数が1・5倍くらいあればいいんですが」
続いて5階の展望デッキへ。人気キャラクターをテーマにしたゾーンと、プラネタリウムカフェ&バーを隣接。「空港観光だけで行くなら展望デッキの存在が大きい。広々としていいんですが、時間をつぶすスポットとしてはイスの数が少なすぎ。キャラクターとプラネタリウムは要素としては楽しいが、少し狭い。4階の江戸と違ってフロア全体のコンセプトがよく分からないのが残念です」
テーマパークが生き残れるかは、リピーターを獲得できるかがカギ。空港内にあれば、閑古鳥が鳴くことはないが、モタモタすれば1年ぐらいで廃れる恐れもあるようです。
「ワクワク感はあるが、もう終わりなの!?という感じもある。飽きられない工夫は常に必要。江戸小路の舞台で能や和楽器の演奏会をやるのもいいし、縁日をやるのもいい。年に2、3店は入れ替える必要はあるでしょう。飛行機に乗らないけど行ってみようという気にさせれば成功です」と佐々木さん。うまくいけば世界の空港のモデルケースになるかもしれません。
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