今季国内FA権を取得した広島・石原慶幸捕手(31)が19日、マツダスタジアム内で球団とシーズン終了後初のFA交渉に臨んだ。複数年契約などの好条件を受けたが、結論を保留した。球団の全力慰留に対し「うれしい」と話したものの、残留は明言せず。「まだ何も定まっていない」と権利行使に含みを持たせた。
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カープの気持ちは十分に伝わった。マツダスタジアムでの練習後、鈴木球団本部長と2時間30分のロング交渉を終えた石原は「『残ってくれ』と言われたのが何よりうれしかった」と、満足げな表情で話した。
ただ、結論は保留した。「今はまだ、何も定まっていない。条件(を考える)とかそういうとこまでいっていない」。今は全くの「白紙」の状態であることを強調、残留を明言しなかった。さらに「(決断の)時期とかも分からない。自分の中では中途半端にやりたくないです」とも語り、FA権の行使に含みを持たせた。
WBC代表にも選ばれたカープ不動の正妻がFA宣言すれば、他球団の争奪戦は必至となる。現時点では中日、横浜、ソフトバンクなどが、興味を持ち、その動向を注視している段階だ。
球団側も、正妻の流出阻止へ最大限の誠意を示した。同本部長は「条件に関しては言えない」としたが、複数年契約に加え、今季年俸5500万円からのアップを提示したもよう。今季は規定打席にも達せず、打率・263、41打点、8本塁打と不本意な成績で終わったが、高い評価で石原の心に訴えた。
「条件面は言ってもらえましたが、お金どうこうじゃない。残ってくれ、その言葉をもらえたのが良かった」と、繰り返した石原。条件面に関しての不満はない。
だが、まだ最初の交渉が終わった段階。熟慮を重ねたい。他球団の話を聞いてみたいか、の問いにも「そこまで今は分からない」とした。「(交渉は)きょうだけじゃない。カープという球団に気持ちはあります」と、行使ありきではない。
鈴木本部長は「石原自身がFAのことに対し、気持ちを固めるのに時間がかかるだろう」と話し、長期化を覚悟。今後も粘り強く慰留していく。
行使の期限は、日本シリーズ終了の翌日から、土・日・祝日を除く7日以内。まだ時間はある。カープへの愛着か新たな道か、熟慮を重ね、決断をする。