ビールかけではしゃぐ成瀬
「パ・リーグCSファイナルS・第6戦、ソフトバンク0‐7ロッテ」(19日、ヤフド)
喜びと自信。勝利の瞬間に広がったロッテ・成瀬の笑みに、求め続けたエースの風格が備わっていた。9回4安打無失点。無四球完封の快投で日本シリーズ進出を決め、CSの最優秀選手に輝いた。
プロ初の中4日登板となった第1戦から、再び中4日での登板。だが「これまでは自分の中で結構プレッシャーがあったけど、今日の試合が一番プレッシャーがなかった」と成瀬。不安視した立ち上がりを無難に抑えると、五回に4点の援護を受けた後は「1人で投げ抜いてやろうと思った。ギアを変えていきました」と相手打線を寄せ付けない投球を展開した。
「違和感があります。本当に優勝したんだというのと、MVPを獲れるとは思ってなかったので」。大舞台でエースの責務を果たし、眼前に広がる歓喜の光景。これまで経験のないものだった。
「僕は大舞台で活躍ができていない。いい思い出がないんです」。横浜高時代は3年時に選抜決勝で敗れ、16勝を挙げた07年のCS第2Sの最終第5戦でも、日本ハム・ダルビッシュに投げ負け、悔し涙を流した。
過去の自分を払しょくする活躍。それでも「今年はみんなに成長させてもらった。1年だけでは信頼は得られない。何年もかけて、ここぞという時はお前だと言われたい」と話す。「これを生かすも殺すも次(日本シリーズ)です。次も続けたい」。日本一の称号を手にし、目指す頂への歩みを進める。
(2010年10月19日)