8回、ダメ押しの2ランを放った大松(右)らを笑顔で出迎える今岡(中央)(撮影・大山伸一郎)
「パ・リーグCSファイナルS・第6戦、ソフトバンク0‐7ロッテ」(19日、ヤフド)
歓喜の輪の中で、背番号「2」が心の底からの笑顔を見せた。ロッテ・今岡自身3度目の出場となる、頂点を争う大舞台。だが、苦難の道を乗り越えてたどり着いた場所へ向け、過去とは比べものにならない思いを秘めている。
「まず、ひと仕事終えたなと。日本シリーズに向けてしっかり準備したい。振り返るのはまだ早い。まだ終わっていないから」。淡々とした口調が、この先の戦いに挑む男の心境を物語った。
阪神時代は03年に首位打者。05年には打点王を獲得。いずれもチームのリーグ優勝に大きく貢献した。猛虎を代表するスター選手。だが、その後は度重なる故障に苦しみ、昨年オフに阪神から戦力外通告。トライアウトを経て、今春のロッテキャンプにテスト生として参加後、入団を決めた。
どん底を味わい「自分が活躍することを中心に考えていた」という阪神時代から、ロッテ入団後は「とにかくチームの勝利。自分が1軍でも2軍でも、チームが勝てばいい」と思いは一変。日本シリーズへも「先(スタメン)でも後(代打)でも、チームが勝つためにやるだけです」と話す。
今季は5月25日に故障から2軍降格。再昇格は9月14日だったが、ファイナルSは5試合に先発出場。第4戦では決勝ソロを放った。「阪神では2回とも日本シリーズで負けている。何とか1試合でも多く活躍して日本一になりたい」。“誠の救世主”が果たす大仕事は、まだこの先にある。
(2010年10月19日)