快投リー１３ＫでＰＳ無傷７連勝

　１８日（日本時間１９日）、ア・リーグ優勝決定シリーズ第３戦が行われ、レンジャーズ（西１位）がヤンキース（ワイルドカード＝ＷＣ）に８−０で連勝し、対戦成績を２勝１敗とした。レンジャーズはエース左腕クリフ・リー（３２）が８イニングを２安打無失点、単一ポストシーズン（ＰＳ）では史上初の３試合連続２ケタ奪三振となる１３三振を奪った。また、ＰＳでは８戦負けなしの通算７勝目、ヤンキース戦では昨年から３連勝とした。第４戦は１９日（日本時間２０日）。

　逆転を期待して残っていた４万９４８０人のヤンキースファンが一斉に席を立つ。８回２死走者なし。レンジャーズのエース・リーが投じた１２２球目の外角直球に、ガードナーは見逃し三振。敵地のファンを黙らせるどころか、家路に就かせてしまう圧巻の投球だ。「試合終盤まで投げて点を取られないことは、いつでも大きいよ」。ＰＳ７連勝を記録した男はさらりと言ってのけた。

　相手打線が初回から球数を投げさせる待球作戦に出ても、全くペースを乱さない。打たれたのは単打２本。多彩な球種、内外高低に幅広く使える制球力で的を絞らせず、８回まで毎回の１３奪三振。単一のＰＳでの３試合連続２ケタ三振は、史上初の快挙だ。

　どんな舞台で、どんな相手がきても気負わなかった。この日の試合直前も誰よりも早くベンチを出て、マウンドをならした。そして、バックスクリーン方向に向け、シャドー投球を１回。それから投球練習に入った。「基本的に、レギュラーシーズンと今とで何も変わらない。もう数年間、日課になっている。それが自分の自信になるんだ」。落ち着き払った３２歳に、ヤンキース打線は脅威に映らなかった。

　ロージンバッグ以外のものをつけていると、不正投球の疑いをかけられた帽子のつばにも、何度も触った。審判からボールのチェックを受けても、動じない。試合後には、つばにロージンバッグがたっぷりとついた帽子をかぶり、会見場にやってきた。“おれは何の不正もしていない”。プライドが透けて見えた。

　チーム史上初、リーにとっては昨季のフィリーズ時代に続く２年連続のワールドシリーズの舞台まであと２勝だ。３勝３敗となっても、２４日のホームでの第７戦で再びマウンドに上がるのは、恐れを知らぬ、この男だ。「まだわれわれにはやるべきことがある」。絶対的なエース左腕の快刀乱麻の投球で、一つ目の頂がくっきりと見えてきた。