2010年10月21日5時30分
日本向けが停止される以前から、中国は生産に伴う環境汚染の拡大などを理由に輸出を削減してきた。今年の輸出枠は前年比4割減の3万トン。大手商社の双日の試算では、来年の日本のレアアース需要は3万2千トンに上るが、ほぼ全量を中国に頼る調達は2万1800トンにとどまり、1万トンが不足する見通しだ。
世界生産の97%を占める中国の輸出抑制に伴い、レアアース価格は高騰している。大手商社のレアアース担当者は、「メーカーが製品にレアアース価格の上乗せをできなければ、経営にも影響が出るだろう」とみている。
中国は、政治的な動きだけでなく、資源市場での影響力強化も考えているようだ。
一方、中国政府は20日、「欧米への禁輸拡大」と報じたニューヨーク・タイムズ電子版に対し「事実関係を調査している」とコメント。「中国、来年は最大3割削減」とした19日の中国紙チャイナデーリーの報道には「まったく根拠がない」と激しく反応した。中国商務省は「限りある資源を守り、持続可能な発展を実現するために、レアアースの採掘、生産、輸出に対する規制措置を続ける。これらの措置は、世界貿易機関(WTO)のルールに違反していない」と付け加え、「禁輸疑惑」を否定した。
同省によると、中国はレアアースの輸出では世界の9割以上を占めるが、備蓄では3割程度。チャイナデーリーは19日、同省関係者の話として「このままでは15〜20年で(中国の)備蓄が枯渇する」と、制限する事情を伝えている。(神谷毅、福山崇、北京=吉岡桂子)