2010年10月21日5時30分
ハイブリッド車(HV)や省エネ家電づくりに欠かせないレアアース(希土類)の取引を、中国企業側から一方的に破棄される日本企業が出ていることが20日、分かった。9月下旬以降、レアアースを扱う日本企業30社のうち中国から輸入できたのは2社だけ。民間の試算では、日本は来年、必要量の3割に当たる1万トンのレアアースが不足する見通しだという。
経済産業省の調べでは、日本の複数の企業が今月に入り、中国のレアアース供給会社から、輸出契約を破棄すると連絡を受けた。中国側は破棄する理由として、税関での荷物検査が長期化して船積みの見通しが立たないため、日本向けを他国の企業に割り当てたい、と言っているという。
また、ある大手商社は韓国などを経由して日本に輸入しようとしたが、中国企業は「発覚するのが怖い」とし、契約を断ってきたという。
レアアースの中国税関での手続き停止は、沖縄県尖閣諸島沖の漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の勾留(こうりゅう)延長が決まった2日後の9月21日に確認され、船長が釈放されると、手続きが再開された。
しかし、荷物の全量検査や、これまで必要なかった中国語による輸入申請書の提出などを求められる企業が相次ぎ、今度は企業が契約破棄の行動に出てきた。経産省は「辛うじて輸入できる企業もあるが、契約破棄が出る状況では、事態は今後悪化するだろう」(幹部)と懸念している。
日本のレアアース使用企業の中には、「11月初旬までに輸入できないと、操業を止めなければならない」と訴える液晶関連メーカーや、輸入に頼らずに済むように中国への工場移転を検討し始めたガラスメーカーなどもある。