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プロ野球・オリックス・バファローズ

金子千尋の投球回「204回1/3」…パ単独1位 6年目躍進

 オリックスの右腕、金子千が6年目の今季、躍進を遂げた。17勝を挙げて最多勝のタイトルを手中にした。首脳陣の信頼度を示す投球イニングも204回1/3と、リーグ単独トップに立っている。

(記録は28日現在)
勝利数と投球回でリーグ1位を目指す金子千

 リーグでは、星野伸之・オリックス投手コーチが阪急(現オリックス)時代の1987年にマークして以来となる年間6完封勝利。7月からは破竹の13連勝。岡田監督は快進撃を予測していたかのように開幕前、こう期待を込めた。「最低でもシーズン200回を投げてもらわないと。崩れていいのは、年間に1、2回だけだ」

 だが、エースと呼ばれるまでには試練があった。開幕戦で完封勝利を飾った後、不振に陥った。金子千は「ボール自体は、悪くなかった」と振り返る。心理的要因と分析したのは清川投手コーチ。「完璧(かんぺき)を求めるタイプで、打ち取り方にまでこだわってしまう」。繊細さが裏目に出た。コースを狙いすぎて腕が振れず、負けが先行して防御率も4点台後半と低迷した。

 好転のきっかけは、6月24日のロッテ戦(千葉)。一回に2点を先制され、二回の先頭打者にも安打を許した。そこから、「きれいに打ち取ろうとか、あまり考えないようにしよう」と開き直った。この試合では負け投手になったものの、力強い投球を思い出した。

 今月25日に黒星が付くまで4完封勝利を含む13連勝。長いイニングを任されるようになった。今は「直球が思うように投げられている」と手応えを感じている。マウンドで意識するのは、腕を振り下ろして、球に角度を付けること。小細工せず、自分の原点に立ち返って勝ち星を稼いだ。

 元来、スタミナに自信はなかったが、終盤になっても球速150キロに迫る力強い球を投げるようになった。岡田監督も「九回まで球速が落ちない」と驚く。その点について金子千は、心の持ちようと強調。「試合の最初から最後まで、力の入れ方は一緒。あと何回とか考えず、気持ちで体をだましてます」と秘訣(ひけつ)を明かす。

 年間6完封のシーズンから11年連続2けた勝利と、リーグを代表するエースに成長したチームの先輩、星野投手コーチは「完封を重ねると、試合のポイント、流れが把握出来るようになる。その経験は、次の年にも生きてくる」とさらなる活躍に期待する。

 ここまで、他球団のどのエースよりも長くマウンドに立ち続けた金子千にとって、今季は野球人生の分岐点となりそうだ。

(北谷圭)
2010年9月29日  読売新聞)
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