最終更新: 2010/10/21 02:06

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アフガニスタンで日々生きることに追われる一般市民の現実を見つめました。

アメリカ軍が撤退へとかじを切り、国と生活の再建への希望が急速にしぼむ中で、とにかく日々、生きることに追われる一般市民の現実を見つめました。

首都カブールで、アメリカ軍の大型ヘリが不時着した直後の現場に、取材班が偶然遭遇した。
信じられないことに、乗員のアメリカ兵は、まるで敵に囲まれたように、集まった市民に銃を構えていた。
銃を向けるアメリカ兵と市民、お互いの間にぬぐいがたい不信感が現れた瞬間だった。
カブールの中心街に立ち並ぶビルは、豪華な結婚式場やショッピングモールで、ジーンズ姿の女性たちが買い物をしている。
国際的な援助や支援は、モノとカネを呼び、カブール市民のごく一部には、ぜいたくな消費を楽しむ層も生まれた。
その一方、カブール旧市街には、毎日、日雇い労働者がおよそ300人集まる。
日雇いの仕事を求めて集まる多くの男たちだが、そのほとんどは仕事を得ることができない。
職探しに来た市民は「タリバン時代は良かった。仕事があって、強盗などの犯罪や戦争はなかったんだ」と話した。
アフガニスタンでは、治安の悪化なども原因となり、失業率は3割を超えているとされる。
その貧困対策のため、日本を含む国際社会からは、これまで3兆円を超える援助資金と支援物資がつぎ込まれてきた。
ところが、市内の市場には、アメリカから援助された油が並ぶ。
店の棚に並べられた「USA」の表示がある食用油。
本来、無償で提供されるはずだった支援物資が、堂々と売られていた。
さらに、この通称「ブッシュ市場」では、アメリカ軍が実際に使う新品の防弾チョッキなど、本来売られるはずのない品々が売られていた。
店員は「(本物?)本物です。(駐留軍の)基地から仕入れます」と話した。
驚くことに、品物は基地からの横流しで仕入れた正規の装備品だという。
店員は「(商売はどう?)景気はいいよ」と話した。
横領や横流しの中でも最悪なのは、支援食料の不正取引。
国連によると、アフガニスタンでは関係者の横領などにより、支援食料が十分に行き届かず、その結果、国民の3分の2が食料不足に陥っているという。
そのしわ寄せは、当然、弱い立場の女性や子どもたちへと向かう。
ある3人の兄弟は、ごみ拾いや靴磨き、路上での物売りなどで働いているという。
長男(12)は「学校が午後1時に終わって、毎日、夕方まで空き缶を集めます。勉強するのは夜です」と話した。
母親(25)は「主人も金属を集めて売っていますが、家計は苦しいです。学校が終わってから、子どもたちに働きに行かせています」と話した。
モノやカネの援助が、汚職や腐敗によって闇に消え、貧困だけが拡大するという現実。
そして、もう1つの大きな問題は、30万人以上にのぼるという国内避難民の存在。
故郷で続く戦闘を逃れ、避難した人々は都市部に流入し、今もその数は増え続けている。
カブール郊外にある避難民キャンプには、現在およそ3,000世帯、2万人以上もの人たちが暮らしている。
モハメッド・ユヌスさん(38)は、アフガニスタン中部の農民だったが、1年前、家族を連れ、2万人以上が暮らす避難民キャンプに逃げてきた。
ユヌスさんは「戦闘が激しく、空爆も続いていたので、ここに避難してきました。ロケット弾が、家に撃ち込まれたんです」と話した。
今は、土と泥で作った穴のような家に、子ども6人を抱えて暮らしている。
収入は建設業の日雇いに頼る、ぎりぎりの生活。
ユヌスさんは「戦闘さえなければ、こんなところで過ごさなくていいんです。仕方なくここで暮らすしかないが、1日も早く故郷に戻りたい」と話した。
しかし、故郷へ戻っても、そこには問題が残っているという。
ユヌスさんは「麦を栽培しても生活できないので、ケシを栽培していたんです」と話した。
世界のアヘン生産の9割以上を占めるアフガニスタン。
戦闘で荒廃する地方で、農民たちは、現金収入につながるケシ栽培へと走る。
そして、生み出された巨額の「麻薬マネー」は、タリバンなど反政府武装勢力の大きな資金源となっていく。
「テロとの戦い」が「テロの資金源」となっている矛盾。
失業中の市民は「(アメリカ、タリバン、政府、誰を支持する?)正直、誰も貧困や恐怖に苦しむ国民のことを考えてない! みんな、自分の懐にお金を入れることしか考えてないんだ!」と話した。
丸9年にわたる戦いの後、2011年に撤退開始を決めたアメリカ。
国民に混迷からの出口を示せないアフガニスタン政府。
タリバン政権崩壊後、誰もが夢見たアフガニスタン復興への希望は、今、色あせて見える。

(10/21 00:53)


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