予算委に経済産業省の古賀茂明氏(昨年まで国家公務員制度改革推進本部事務局)が、みんなの党の参考人として出席し、官僚が公務員の身分のままで独立行政法人などに天下りする現役出向について「不透明な癒着は公務員の身分を維持して行っても全く同じことが起きる可能性があり、非常に問題だ」と証言した。これに対して仙谷長官は、求められてもいないのに、こう答弁した:
職務と関係ないことでこういう場に呼び出すやり方は、はなはだ彼の将来を傷つけると思います。優秀な人であるだけに、大変残念に思います。
この霞ヶ関文学を普通の日本語に翻訳すると、こういう意味だ:
このように日本の官僚機構の異常に硬直的な意思決定の原因は、その硬直的な雇用慣行にある。私が研究所をやめるとき、ある補佐は「今回の騒動でRIETIは死んだ。私などは『天上がり』で来年は元の会社に戻るので自由に発言できるが、キャリアはかわいそうだ。課長の意見を忖度して、その意に沿うペーパーを書かないと、次にどこに飛ばされるかわからない」といっていた。
高木文雄元大蔵次官(国鉄総裁)にインタビューしたとき、彼は「戦前の高等文官というのは弁護士みたいにいつまでも有効な資格だったので、大蔵省で上司と喧嘩して農商務省に入りなおす、というようなことができた」という。キャリア官僚もこういうポータブルな資格にして、民間にも行ける外部オプションを増やせば、思い切った政策提言が役所の中からも出てくるのではないか。
役人のくせに野党の参考人になって政府の法案にケチをつけるような奴の将来には、天下り先はないぞ。お前は、自分が出向先から「官房付」の窓際ポストに返されて、肩たたきを受けている理由がわかってないのか。このように国会の場で公然と恫喝が行なわれるのは珍しいが、こういう慣習は霞ヶ関では誰でも知っている「お役所の掟」である。私が経済産業研究所で懲戒処分を受けたのも、似たような状況だった。そのとき所内のミーティングで私を弁護した本省の同僚は次の異動でみんな左遷され、同期でトップの補佐が同和団体の窓口に異動させられた。
このように日本の官僚機構の異常に硬直的な意思決定の原因は、その硬直的な雇用慣行にある。私が研究所をやめるとき、ある補佐は「今回の騒動でRIETIは死んだ。私などは『天上がり』で来年は元の会社に戻るので自由に発言できるが、キャリアはかわいそうだ。課長の意見を忖度して、その意に沿うペーパーを書かないと、次にどこに飛ばされるかわからない」といっていた。
高木文雄元大蔵次官(国鉄総裁)にインタビューしたとき、彼は「戦前の高等文官というのは弁護士みたいにいつまでも有効な資格だったので、大蔵省で上司と喧嘩して農商務省に入りなおす、というようなことができた」という。キャリア官僚もこういうポータブルな資格にして、民間にも行ける外部オプションを増やせば、思い切った政策提言が役所の中からも出てくるのではないか。
コメント一覧
硬直的な人事制度のくだりに同感。私が官僚だった時も疑問に感じることが多かったです。
では、硬直的な人事制度をどう変えるべきか。
これを考えるにあたり、シンガポールの官僚制度は参考になると私は考えています。
詳しくは小生の記事
シンガポールのすごい官僚制度について
http://blog.livedoor.jp/jpsg/lite/archives/957455.html
をご覧いただけたらと思います。
それにしてもこの仙谷発言は本当にひどい。こういう人が官房長官やってる国って。。。
私は、議会内閣制では、官僚が内閣に歯向かった時に、人事をもって報復すること自体は、原則的にはそれでよろしいと考えます。我々国民が選んだ代表が選んだ内閣に、官僚は従ってもらわなければ困る。ましてや、今回は、国会という公も公の場で堂々と自分の社長の意思を批判したようなものであるから、公の場で堂々と恫喝し返しても私はあまり問題を感じません。(私個人は民主党に投票していないし、現政権の政策のほとんどに反対であるし、本件でも、この官僚の言っていることの方が正しいと思っているが・・・。)この官僚は、みんなの党が政権を取ったときに、晴れて表舞台にお戻りになればいいし、その覚悟でいらっしゃるとお見受けします。
やはり、私も、硬直した雇用慣行はあらゆる意味で問題ですね。官僚が率先して雇用の流動化を示していただきたいものです。
ところで、この恫喝が本当に「お前に天下りはないぞ」だったら、この方には通じませんね:-)
自分の組織を自分で治す、というのは自分で自分に手術をするのと同じで誰にも出来ないことです。
官僚組織を変えるのは外部の組織しかなく、それは政治家とマスコミしかありません。ですが前者は任期が短く、後者は官僚の情報を鵜呑みにして政治家を叩く側に回ります。
官僚だって個々人を見れば悪ではなく、集団として動くと巨大な因循姑息な集団になるのでしょう。
政治家を強くする、という方法は、月並みですが首相公選制、選挙を減らすこと(特に参議院をなくすか任期を非常に長くする)だと思います。
きっとこれが提案されても官僚が上手く誘導してマスコミが叩いてつぶすのでしょう。
思えばマッカーサーすらメスが入れられなかった組織をどうすれば切れるのでしょうか?ipsgさんのいうシンガポールはどうやってそんな組織に出来たのでしょうか????
政治家の指示に忠実に従うのが良い官僚です。従うのがいやなら、潔く辞職すればよろしい。
政治家から与えられた命題を、いかに効果的、効率的かつ他の政策との矛盾なく整合がとれた形で実現していくか、それこそが官僚の仕事です。トップ(大臣)が代われば否応なく変わらなければなりません。
「気骨ある」飼い犬が、自分の意思で飼い主に逆らい吠えたてたりすれば、保健所に連れて行かれても文句は言えないでしょう(動物愛護精神の上では問題があるでしょうが)。
結果が悪ければ、国民の意思で政策決定を行った政権(政治家)を代えればよいのです。官僚には、そうした審判はありません。
とはいえ私は、今まで(そして今も)官僚主導だとは思えません。特に、財務省・大蔵省支配など、政治家が単に責任転嫁のために言っているだけです。現在の巨額の財政赤字は、ここ1年のうちに積み上がったのではないのです。たとえ嫌がっていても、引き綱を引いて飼い犬に言うことを聞かせ続けていたのは、政治家です。政治家を放し飼いにしていたのは、我々ですけどね。