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民主、裏切りと陰謀の夏 小沢が嗤っている

2010年08月02日 20時04分27秒 | 情報
ここは役人天国、「菅から官へ」大行進/小沢が怖い、とにかく怖いんだ/仙谷の「面従腹背」、前原の「馬鹿にした態度」。
菅おろしに雪崩を打つ民主党実力者たち/そして誰もいなくなっちゃった。
国民の信を失った菅政権は、死に体と化している。
焦る菅首相は政治主導を捨て去り、財務省の犬となってまで総理の椅子にしがみつく。まさに末期症状。それを見た「壊し屋」がついに動きだした。


信頼も期待も失った菅総理

9月に何かが起きる-。混迷を深める政局の鍵を握る男が、7月21日、久々に公の場に登場した。小沢一郎前幹事長が約2週間ぶりに姿を現したのだ。

 小沢氏は新築された永田町の議員会館の自室(605号室)で、参院選を戦い終えた自身肝煎りの候補者たちと面会を行い、「参院選は議席を失うべくして失った」などと、菅直人首相の批判を繰り返した。

 小沢氏側近はこう語る。

「いまわれわれは、"見極め"をしている。誰が小沢氏のもとに来て、誰が来ないか。誰が何をどこで話しているのか。見極めることで"色"が見える。9月になれば、自ずとそのすべてが明らかになるだろう」

 小沢氏はこれまで約2週間、「雲隠れ」していた。参院選直前の7月8日から行方をくらまし、東京駅近くのホテルのスイートルームに籠っていた、関西に潜伏していた・・・など様々な説が飛び交った。

 18日、同氏が八丈島を訪れたところを一部のメディアが捕捉したが、姿を現したのはその時だけ。小沢氏の動向に、菅首相はじめ民主党議員はもちろん、関係者すべてが神経を尖らせている。

 小沢氏が水面下に「潜る」時、政界では何かが起きる。'93年7月、小沢氏は「オレは潜る」と話して姿を消し、人知れず政界工作を実施。再び姿を現した時には、細川護熙日本新党代表(当時)を担ぎ、非自民・連立政権を立ち上げる枠組みが出来上がっていた。

 それから17年。政治家としては老境に差し掛かった小沢氏は、「最後の戦い」に向けた仕掛けを、過去と同様、いったん姿を晦ますことで開始したのだ。

 これに相対する菅首相は、自分を刺すことに全精力を傾ける小沢氏が怖くてたまらないようだ。その精神の動揺と不安心理を物語るように、このところ菅首相が、公式の日程にやたらと遅刻することが報道関係者の間で憶測を呼んでいる。

「7月15日には、午前中は公邸から出てこず、官邸入りして執務を始めたのは予定より2時間遅れでした。20日のぶら下がり会見も30分遅れ。鳩山由紀夫前首相も政権末期には、追い詰められて遅刻を繰り返すようになった。菅首相はまだ2ヵ月ですが、相当、神経がまいっている」(全国紙政治部記者)

 菅首相は、支持率が30%台に落ち込んだ世論と同じく、党内でも人気がない。

 「イラ菅」という異名が示す通り、事あるごとに周囲に説教し、イライラと当たり散らす態度が、顰蹙を買っているからだ。首相の周囲には、彼を支えようという人間がほとんどいない。

 そんな寄る辺のない菅首相が、いま政権維持のための「最後の拠り所」としているのが、官庁の中の官庁こと「財務省」だ。

 7月14日、政府・与党内に動揺が走った。菅首相が唐突に、民主党政権の目玉の一つだった国家戦略室の縮小方針を打ち出したからだ。

 国家戦略室は、民主党の掲げる「政治主導」を実現すべく立ち上げられた。予算編成を含めた国家の経済・財政政策の立案・調整を担うとされ、将来は「局」に昇格させる前提で、担当大臣ポストも新設された。栄えある初代大臣は、ご存知、菅首相その人である。

 ところがこの政権交代の象徴と言うべき国家戦略室が、単なる「首相のシンクタンク」(仙谷長官)に格下げされるという。渡辺喜美元行革担当相(現・みんなの党代表)の下で補佐官を務めた政策コンサルタントの原英史氏(政策研究大学院大学客員准教授)はこう語る。

「国家戦略室は、財務省にとって目の上のたんこぶの組織でした。それを縮小するということは、菅政権が財務省依存体質を強めていくことを意味します。国家戦略室は、自民党政権時代の経済財政諮問会議のいわば延長線上で、政治主導を実現しようとしたもの。

 国家戦略室に比べると、かつての経済財政諮問会議のほうが政治主導に成功していたくらいなのに、さらにシンクタンクに格下げする・・・。これは、とてつもなく旧い体質に逆戻りするということです。'90年代の橋本行革以前、竹下政権とか海部政権とかの時代に逆行することになります」

 政治評論家の屋山太郎氏も失望を隠さない。

「鳩山政権は、公務員制度改革に何の成果も示さず崩壊しましたが、菅首相も、まったく改革に興味がない。

 参院選前、いきなり消費税問題の口火を切ったのも、完全に財務省の口車に乗った格好です。財務省にしてみれば、公務員制度改革などせずに歳入を増やしたいわけで、それが消費税。菅首相は政権を維持するために財務省と結託し、予算編成など、すべてを丸投げしたということです」

菅の次は仙谷?

現政権の「菅から官へ」という反動ぶりは、ある改革派官僚の左遷という「事件」が象徴している。経済産業省キャリアで、国家公務員制度改革推進本部の事務局審議官を務めていた古賀茂明氏が、いきなり"肩叩き"をされ、退官を余儀なくされつつある事件だ。

「古賀氏は民主党がマニフェストで公約した『国家公務員の総人件費2割カット』のためには、大胆な人員削減と給与カットが必要だと唱えてきました。増税など国民に痛みが伴う政策を実施する前に、公務員のリストラや議員定数の削減、歳費カットなどにより、まずは政官の指導層が範を示すべきと主張していたのです」(民主党若手議員)

 実に至極真っ当な論理だが、古賀氏は今月、唐突に民間企業への出向を打診された。事実上の天下りである。天下りを否定する改革派の古賀氏がその打診を断ったところ、事務次官から「省内にポストはない」と、言い渡されたという。

 これは体のいい厄介払い、役所に対する反逆者の追放に他ならない。経産省関係者は、「一連の動きの背後にいるのは財務省です」と証言する。

「古賀氏は昨年末、窓際官僚の指定席の大臣官房付に左遷されましたが、そこには財務省による『過激派の古賀を公務員改革の現場から外せ』という、強い意向が働いていました。

 今回の古賀氏の肩叩きに関しても、財務省は報道各社の論説委員クラスに働きかけ、『決して改革派パージではない』という論調を作ろうと裏で画策しています」

 参院選に大敗して党内から突き上げられ、支持率は急降下、世論の風当たりは厳しい。参院での与党過半数割れをどうにかしない限り法案は一本も通らない。これは、概算要求(シーリング)が始まった来年度予算についても、関連法案を通すことができないため、その執行ができないという恐るべき事実を意味する。

 進退窮まった菅首相が、政治主導という政権交代の理念をかなぐり捨て、最後に縋ったのが、スーパー官庁・財務省というわけだ。

 ただ、財務省に土下座する他に頼る者もいない菅首相はともかく、民主党内では改革派の筆頭として名を馳せてきたはずの仙谷長官までが、いまや財務省ベッタリの態度でいることは解せない。前出・古賀氏の件も、そもそも同氏を公務員改革のブレーンとして招聘したのは仙谷氏だというのに、あっさりと古賀氏を切り捨ててしまった。

 実は、そこには策士とされる仙谷氏の、したたかな計算がある。民主党ベテラン代議士がこう語る。

「仙谷氏は菅首相に対して、完全に面従腹背の状態になっています。菅首相が早晩、退陣に追い込まれるのは誰の目にも明らか。仙谷氏は『次』の筆頭候補が自分であることをよく分かっている。

 そこで、いまから財務省の懐柔に入っているのです。ポスト菅を狙う者にとって、現在のテーマは『財務省の獲り合い』なのです。財務省ともっとも緊密になった者が、次の政権を握れるということです」

 もともと仙谷氏は、菅政権を支える官房長官とはいえ、その関係には距離があった。昨年、民主党政権が発足した時、菅氏は副総理兼国家戦略相、仙谷氏は行政刷新相に就任した。その時からすでに、両者の間には深い溝があったのだ。

「菅さんは国家戦略室でスタッフも権限もなく、ヒマを持て余すことになりました。背景には仙谷グループの意向がありました。『公務員制度改革はこっち(行政刷新会議)でやる』と、菅外しが行われていたのです」
(前出・ベテラン代議士)

 国家戦略室の縮小が伝えられた直後、鳩山政権の官房副長官として、組織の立ち上げに携わった松井孝治参院議員は、「悔しくて眠れない」「首相に直談判する」などと、ツイッター(呟き型ブログ)に書き込んだ。だが、菅首相は松井氏の訴えを無視した。そこには、昨年来、鬱積していた人間関係のもつれがあった。

「菅首相にしてみれば、松井氏は国家戦略相の時に自分の足を引っ張った張本人の一人。首相は『何もやることがない』とひたすらボヤく日々を送った国家戦略室に対して少しも思い入れがなく、むしろ、驚き嘆く松井氏らに対して『ざまあみろ』くらいの気持ちでいます。反対に松井氏のほうも怒り心頭で、『こうなったら倒閣運動だ』と息巻いている」(官邸スタッフ)

 菅首相は多少、溜飲を下げたのかもしれない。しかし、政治主導の看板を下ろすことになった結果は、政権内に、ますます亀裂と動揺を広げただけだ。

 閣内にも「反菅」勢力が広がりつつある。前原誠司国交相は、「いったいどこが政治主導なのかという疑問が浮かんでくる」と、首相を公然と批判。会見での発言態度は、「バカじゃないの」と言わんばかりだった。

 前原氏も仙谷氏と同様、ポスト菅を窺う有力者の一人。国民が呆れた公約放棄をいち早く批判することで、自身の存在をアピールする狙いがあったのは間違いない。

鳩山元首相を外務大臣にする

実態は財務省が牛耳る役人天国で、幹部連中は早期退陣を見越してバラバラ。首相の周囲には人が寄り付かない。こんな菅政権の惨状を見て、ほくそ笑んでいるのはもちろん、小沢前幹事長である。

 勝負は前出の通り、9月に予定される代表選だ。政局となれば何をしでかすか分からない小沢氏を怖れる首相は、さかんに「会いたい」とアピールしている。だが、小沢氏サイドは、「会うわけがない」と一蹴する。

「菅首相は『小沢さんが会ってくれない』とあちこちでしゃべっているが、実際には、小沢氏に対して正式な面談希望は出ていない。小沢氏も、『聞いてないのに会えるわけがない』と呆れている。総理が頭を下げているのに、無視する居丈高な小沢・・・という構図を演出しているんじゃないの」(小沢グループ幹部)

 民主党の代表選は、9月12日に行われる予定だ。小沢グループは、満を持して菅首相を倒すための候補を立てるつもりでいる。

「いまのところ、原口一博総務相と海江田万里代議士のどちらかが、小沢グループの候補として立候補する可能性が高い。海江田氏は『2年早い』と迷っているが、原口氏は『小沢さんのためなら自分が出る』と周囲に話している。

 菅首相を支持したグループの一部を切り崩せば、小沢氏の推す候補が勝つ。もっとも、松木謙公代議士ら側近は、小沢氏本人の出馬を画策しているようですが」
(民主党中堅代議士)

 そんな中、菅vs.小沢の決戦において、意外なキーマンとなりつつあるのが鳩山前首相だ。鳩山氏は首相を辞める際、「次の選挙には出ない」と引退宣言したはずが、最近それを撤回。政界への未練を示している。

 気が変わったのは、鳩山首相が代表選を前に、「モテモテ」だからだ。菅グループ中堅議員がこう語る。

「鳩山グループは約50人おり、代表選ではその票が勝敗を左右する。そのため、首相サイドと小沢一派双方が、鳩山前首相との同盟を狙っています。鳩山氏周辺からは、『鳩山に外務大臣ポストを。友愛外交をやらせたい』などという、強気な声も上がっています」

 こうなれば、もはや何でもあり。菅首相は鳩山氏に対し、9月にロシアのヤロスラブリで行われる国際会議へ首相代理として出席することを要請した。ロシア外交の進展は、鳩山氏にとっては祖父の代からの悲願。鳩山氏は飛びついて首相支持を打ち出したが、これで菅首相有利かと言えば、そうでもない。

「グループの大半は菅嫌い。心情的には、小沢氏のほうがマシ」(鳩山グループ議員)という。菅首相は政権発足時、鳩山グループにポストを与えず干した。その「怨念」は、簡単には拭い去れないのだ。

 一つだけ言えるのは、次の代表選で、今度こそまともな首相を選ぶことができなければ、民主党政権はもたないということ。これ以上迷走するようなら、日本は、先の見えない混沌の中に突入していくことになる。

週刊現代
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