アースラ艦内にある艦長室。そこに、セイバーを始めとするサーヴァント組五人と、リンディとクロノの二人。そして、プレシアとリニスがいた。
何故、ここにプレシア達がいるのかというのは、ただ一つ。アリシアとこれからの自分達の事を話し合うためだった。
場の空気は和やかではあった。だが、それはあくまでリンディとプレシアだけ。残りの面々は、揃って何とも言えない表情を浮かべていた。
その理由。それは、プレシアの決意と覚悟の打ち明け話を聞いたリンディが感動し、それに付随して自分の夫を亡くした事件を語りだした事に端を発する。
互いに大切な者を失った。そして、リンディはそれを受け止めて乗り越えた。プレシアはそれを拒絶し、執着した。
だが、その思いを分からぬリンディではない。共に子を持つ親として、プレシアが抱いた気持ちに共感するのも無理はない。
だからこそ、全てをフェイトに打ち明けた決意と、その覚悟に心打たれたのだ。
自分が嫌われてもいい。ただ、娘に全てを知らせぬまま死ぬのは心苦しいと。
それからは、もうリンディとプレシアの母親トーク全開だった。既に話し合う事は無くなっていたのもあってか、リンディもプレシアも饒舌に子供自慢をしていた。
それを聞くはめになったセイバー達は、揃ってため息。おそらく、これが終わるには、かなりの時間を要するだろうと予測できたからだ。
(なのは達は今頃下校時間でしょうか。……仕事に行きたいです)
(はやては、今頃フェイト達と共に遊んでいる頃だな。……おやつは我慢してもらうか)
(スズカ達、今日はハヤテの家で遊んで帰ると言ってましたし……迎えに行ければいいのですが)
(本来であれば、美由希殿や恭也と試合えたのだが……女というのは本当に話し好きよ)
(かったるいな、ったく。フェイトやアルフが羨ましいぜ……ねむ……)
(プレシアもリンディさんも楽しそうでいいのですが……。ま、まぁランサーと共にいれるから良しとします)
(何だろうか……今ならこの場にいる全員と意思疎通が出来る気が……いや、リニスさんだったか。彼女だけは無理だな)
そんな風に時間は過ぎていく。もう、後半はただのお母さん同士の自慢大会になっていたが。
取り戻した日常、そして……
結局、その話し合いで話したのは、セイバー達が”この地球”の人間ではない事。そして、魔法とは違う魔術を使えるという事。
宝具については、それぞれが持つ切り札で、あの光はセイバーの宝具が放ったものだと教えた。詳しい事は教えられないというよりも、自分達にも明確に理解出来ていないと言って打ち切った。
そして、何故かと言えば、自分達が基から作った道具という訳ではなく、その製法に関するものは、何一つとして残っていないからだと告げた。
更に調べようにも、世界が違うのでそれすら困難であり、手の打ちようがない事も語った。
それにリンディがロストロギアと同質の物だと理解を示し、クロノは極力それを使わないで欲しいとも告げた。
それにセイバー達も同意し、元から頻繁に使う気はない事を告げ、止むを得ない事態以外は使用しないと約束した。それと……。
「なのはさん達を管理局には勧誘しません」
リンディはどこか残念そうだったが、そう約束した。現時点でAAAランクの魔力を持つなのはとフェイト。
それを管理局に勧誘しない事は、まさに苦渋の決断だった。だが、それをすればセイバーとランサーが黙っていないと告げたのだ。
リンディが管理局への勧誘をすれば、真面目で正義感の強い二人はおそらく管理局で働く事を考えてしまう。
だからこそ、セイバーとランサーは強く反対したのだ。まだ二人を子供でいさせてやりたいと思って。
勧誘自体は、二人がもっと成長し、自分の判断で自分の進路を決める時期になれば許すとなった。
それは少なくとも15歳。それまでは勧誘禁止。それを聞き、リンディが肩を落としたのは言うまでもない。
そして決まったのは、以前の時に決まった事の再確認と、アリシアの扱い。そして、テスタロッサ家の地球への移住だった。
既に死亡扱いになっているアリシアがミッドで生活するのは、色々と問題がある。そのために、プレシアが地球への移住を提案した。
だが、管理外に住むのは色々と手続きが必要なため、一度プレシア達がミッドチルダに戻る事になったのだ。
それと並行する形でアリシアの事も何とかしてみると、リンディは言った。せめて死亡者扱いだけでも何とか出来れば、と語るリンディ。
それにプレシアが感謝を述べると「同じ子を持つ母ですから」と笑顔でそれに答え、プレシアが深い感謝を告げる一幕もあった。
そして、もう一人それについていく形で、ミッドに行く事にした者がいた。ユーノである。
セイバーからプレシア達の話を聞き、ユーノは高町家の面々にこう言った。
「僕も、一緒に一度ミッドに戻ろうと思います」
その理由は、一族の者達が心配しているだろうから、それを安心させたいからという事と、はっきりと自分の決意と想いを告げ、帰って来たいと告げた。
そうユーノは言った後、小さく息を吸ってはっきり言い切った。
「僕が帰ってきたいのは、ここですから」
「ユーノ君……」
「そう、か。なら、俺は何も言わない。……気をつけて行ってこい、ユーノ」
驚いたようななのはの呟き。それを聞き、真剣な表情で告げられた士郎の言葉に、ユーノは僅かに驚き、そして頷いて答えた。
「……はい、父さん」
「いいなぁ……」
「いつの間にそんな呼び方を……」
二人のやり取りにどこか羨ましそうに呟く桃子と美由希。恭也は、そんなユーノを小さく小突き「俺も、兄さんと呼びたきゃ呼べ」と呟く。
それにユーノが嬉しそうに笑みを浮かべ、頷いた。そんな光景を見て、なのはは笑顔を見せると同時に、どこか寂しくも思っていた。
フェイト達はいつこちらに戻れるか分からないと言う話だった。ユーノもどれぐらい掛かるか分からないが、それと同じぐらいだろうと感じていた。
(管理外、だからね……)
滞在するには、様々な許可がいるとセイバーも言っていた。だから、ユーノやフェイト達と再会する事は、時間がかなり必要だろうとなのはも思っていた。
セイバーは、そんななのはの気持ちを察し、その肩に手を置き告げた。
「大丈夫です。ユーノもフェイト達も必ずまた会えます。……絆は永遠です」
「……うん。ありがとう、セイバー」
その手に自分の手を静かに重ね、なのははある事を決意する。それは、再会を誓うための儀式……。
(アレ、フェイトちゃん達に渡そう。そして……)
フェイト達がミッドチルダに帰る。それをそれぞれのサーヴァントから聞き、なのは達は急ぎ例の計画を準備した。
桃子や士郎、アーチャー達の力を借り、翠屋を貸し切った『全快&行ってらっしゃいパーティー』である。
フェイト達が帰るまでの時間は、思ったよりもなく、それこそかなりの強行軍な下準備だったが、フェイト達の相手をランサーが買って出たおかげで、気付かれる事もなく、何とか当日を迎える事が出来たのだ。
そして、その会場となった翠屋には、リンディやクロノ、エイミィの姿もあった。プレシアと話が合い、色々と今後の事も考え、アーチャーが招待したのだ。
その姿が見えた時、アリサやはやてが何か警戒したが、プレシアがリンディを見て嬉しそうに近寄ったのを見て、それも早々に消した。
更にエイミィが持ち前の性格で、なのは達と打ち解けたため、はやてとアリサを始めとする『管理局』に対する不信感は大分払拭する事になった。
「へぇ~、みんな同い年なんだ」
「はい。でも、エイミィさんとクロノさんは違うんですね」
なのはが笑顔で頷く。それに呼応するようにアリサ達も頷きを見せる。ただ、アリシアだけは不満そうだったが。
「まぁね。あたしが二つ上。でも同期なんだよ、訓練校の。今は上司と部下になっちゃったけどね~」
「ねぇ、どうしてエイミィはお姉ちゃんなのに、クロノの部下さんなの?」
「あ、アリシア。せめて”さん”を付けようよ」
「いいよ、呼び捨てでも。あたし、アリシアちゃん気に入っちゃった。あ、後敬語は無しでね。仲良くしよ? ね」
「アタシもエイミィさんの事、気にいったわ。……大分気さくな人だし」
「私も。……でも、本当にいいんですか?」
すずかの言葉に、エイミィはスマイル&ウィンクで応える。それがやたら決まっており、はやてとアリサ、アリシアから感嘆の声が漏れる。
「ええなぁ、エイミィさん。何や、大人の女って感じや」
「それ程でもないよ。で、さっきのアリシアちゃんの話なんだけど、実はね~……」
エイミィを中心に盛り上がるなのは達。クロノとの昔話などをし、なのは達が抱いていたクロノの印象を変える事ばかり意図的に話す。
それは、なのは達にあるクロノやリンディへの、ひいては管理局の悪印象をなくすため。
自分が自己紹介した時の雰囲気から、管理局がなのは達子供達には良く思われていないのを悟り、エイミィは積極的にクロノやリンディの個人話をした。
それと同時に、自分達が常に心掛けている事等も交えつつ、管理局員がどんな者達かを語る。誇大にならないように、細心の注意を払いながら。
そんななのは達とは離れた場所では、リンディとプレシア、士郎に桃子という親達が会話に花を咲かせていた。
「そうですか。旦那さんを……」
「すみません。お辛い事を……」
「いえ、気になさらないでください。……でも、桃子さんが羨ましいですわ。こんな素敵な旦那様がいらして」
「本当ですわ。フェイトもお世話になったようですし」
今後の事も話し合いながら、次第に話題は子供達の事へと移っていく。なのはやアリシア、クロノ等の昔話をしながら、共通の悩みや問題などを全員感じてきた事や、今後心配している事なども似ていて、四人はどこでも親の悩みは同じなのだと笑い合った。
「いつになるか分かりませんが、こちらに戻った際には―――」
「色々と頼りにしてください」
「ええ。私達も、なのはとフェイトちゃんやアリシアちゃんが友達になってくれたのが、本当に嬉しいんですから」
「……それは、私の方です。本当に、本当にありがとうございます」
プレシアが深々と頭を下げたのを、二人はどこか気まずそうにしながらそれを止めさせる。
そして、それを見ていたリンディは、プレシア達がこちらに早く滞在出来る手段を思いつき、プレシアへ切り出した。
「プレシアさん。もし宜しければ嘱託魔導師になりませんか?」
そのリンディの提案に、プレシアは若干の躊躇いを見せたが、リンディの告げた内容に驚き、同時にリンディの手を握り、感謝する。
嘱託魔導師になり、その窓口をリンディが行なう事で、プレシアにアーチャー達との連絡役も兼ねた仕事をしてもらう。
そのための段取りも出来ない訳ではない。条件としては、プレシアが嘱託試験に合格する事だが、条件付とはいえSSランクのプレシアならば大丈夫とリンディは思った。
嘱託となれば、ある程度管理外への滞在も大目に見られるかもしれない。おそらく通常よりも時間が短縮出来る。それを考え、プレシアもその提案を受け入れた。
そして、親達の横ではクロノとユーノが話していた。その表情はどこか暗い。
「……そうか。君もここに……」
「ええ。一族の皆も分かってくれると思います」
「……時間は掛かるぞ。何せ、君は「ジュエルシード事件のきっかけであり、重要参考人ですからね」……そうだ」
フェイト達がジュエルシードに関して無罪になった反面、ユーノは事件に対し、責を負う事になった。といっても、軽いものである。
具体的に言えば、事件の概要を話す。それだけ。だが、それはスクライアへ戻る前にしなければいけない事であり、時間はかかる。
それに仕方なかったとはいえ、ユーノは管理外の人間に魔法を教えてしまったのだ。それに関した事も状況から大した事はないと予想されるが、その間完全にミッドに缶詰だ。
それが終わった後でなければ、スクライアの所まで行く事が出来ない。そして、プレシアが嘱託魔導師になれば、ユーノよりも早く地球に行ける。
つまりプレシア達よりも、ユーノは地球へ戻れるようになるまで時間が掛かる事を意味する。
「大丈夫ですよ。僕は犯罪者じゃない。……ですよね?」
「ああ。それについては心配いらない。ユーノ君は、むしろ事件解決に尽力さえした。……誇っていい」
「それは、僕じゃなくてなのは達です。……僕は、ただ自分の見つけたものに対しての責任を果たそうとしただけです」
そんなユーノの言葉に、クロノは呆れたように呟いた。
―――それを誇れと言っているんだ。
―――クロノさんこそ、アーチャーさんと対峙出来た事を誇ったらどうです?
しつこいクロノの言葉に、ユーノが微かに怒りを覗かせる表情で答える。それにクロノもどこかムッとした顔になる。
これが、後に続く二人の因縁の始まり。今でこそ『クロノさん』や『ユーノ君』で呼び合っているが、これがいつしか呼び捨てになる。
それは、この日からすぐに訪れる事になる。
そして、そんな二人から離れた別の位置では……。
「恭也。はい、あ~ん」
「やめろ忍。ノエル達が見ているぞ」
「見てないわよ。嘘吐くならもっとマシな嘘吐くのね」
見せ付けるようにいちゃつく忍に翻弄される恭也。そのやり取りを確かにノエル達は見ていない。
いや、正確には誰も見ていないのだった。そして、その後ろのテーブルには……。
「これ、アーチャーさんが作ったんですね」
「見ただけで分かるのか……」
「勿論ですっ! アーチャーさんの料理なら、目隠ししたって匂いで当ててみせます!」
「アーチャー様、これはどうでしょう?」
「……頂こう」
アーチャーの隣に陣取り、その腕を絡めるファリン。ノエルはそれを咎める事もせず、自分の作ったものの品評を聞くため、さり気無く箸で差し出している。
それを微かに戸惑いながら食べるアーチャー。ちなみにファリンは会場の飾りつけを手伝っていたので、料理を作る事が出来なかったのだ。
そして、その横のデザートが乗ったテーブル近くには……。
「美由希殿、これは?」
「それはガトーショコラです。小次郎さんって洋菓子は全然知らないんですね」
ケーキを前に不思議そうに尋ねる小次郎と、それに笑顔で答える美由希の姿があった。
小次郎はパーティーが始まってから美由希との話もそこそこに、興味を初めてみる料理、特にお菓子へと向けた。
それに内心不満を覚える美由希だったが、小次郎との時間を過ごせる事に変わりはなく、段々と上機嫌になり、今は笑顔で過ごしていた。
そして、その近くでは……。
「これ美味しいよ、ランサー」
「ランサー、これを食べて頂けますか?」
「お、おう。……てか、近ぇよ! アルフもリニスも! 食いモンが近ぇ!」
満面の笑みで、それぞれ食べ物を差し出す二人。だが、その雰囲気は少しも和やかではない。
二人してランサーの腕を確保し、ランサーが好む肉料理を、押し付けるようにランサーの顔へと向けていた。
その妙な迫力にランサーは気圧されながらも、何とかしようとしているが、その結果はご覧の通りであった。
「……何やら取り残されている感が……」
「? どうしました、ライダー」
「いえ、何でもありません。……口にソースがついていますよ、セイバー」
目の前で展開される光景に、ライダーはどこか寂しさにも似た感情を抱き、呟く。
それを聞き、セイバーが右手に鳥のもも肉を持って振り向いた。それに視線を移し、目にしたものに内心呆れながらも、ライダーは優しく指摘した。
それを受け、セイバーが慌てたように口を拭くためにナプキンを手にとる。それを眺め、ライダーは思う。
こんな時間を取り戻すために、自分達は動いていたのだと。だからこそ、密かに微笑む。この状況を作る原動力となったセイバーに。
それは、初めてライダーがセイバーに対して払った尊敬の想い。そして、親愛の表れ。
(こうして見ると、セイバーはやはりどこか変わりました。……僅かに背が伸びた気も……)
(何でしょう? ライダーが笑っています。……そ、そんなに滑稽だったでしょうか?)
無論、そんなライダーの想いにセイバーが気付けるはずもなく、ただ自分がした事に対して恥ずかしがるだけだった……。
そんなこんなのパーティーも、いつかは終わりが来るもので……。
「今日は、私達のためにこんな盛大なパーティーをして頂いて、本当に感謝の言葉もありません。
特に、フェイトとアリシアのために力を貸してくれた方が、こんなにもいた事に……心から感謝します。ありがとうございました」
プレシアの言葉に誰もが黙って耳を傾ける。そう、プレシア達は、明日リンディ達と共にミッドチルダへと出発するのだ。
テスタロッサ家との実質的な別れは、明日の見送りであるが、士郎達にとってはこれが見送りのようなもの。
知り合ってすぐに別れるのは寂しいが、戻ってくると知っているからかその表情は明るい。
「いつになるかは分かりませんが、またこの町に戻って来たいと考えています。
その時には、改めてご挨拶に伺いますので、よろしくお願いします。……アリシア」
「え、えっと……今日は楽しかったです! 友達も一杯出来たし、エイミィやクロノともお話出来て嬉しかったよ!
絶対にまた会おうねっ! 約束だよ? ……フェイトの番だよ」
「う、うん。……言いたい事はアリシアと一緒。私、この町に来て良かった。なのは達に会えて、沢山の人達に会えて……。
絶対に、絶対に戻ってくるから! だから……少しだけさよならです。ありがとう……ございました……っ!」
満面の笑顔で語ったアリシアとは対照的に、フェイトは徐々に涙を浮かべていき、最後は感極まって涙ながらの締めに、なのは達も涙を流した。
士郎達もそんなフェイトの気持ちを思い、瞳を潤ませていた。そうして、プレシア達が最後の言葉を終えたところで、ユーノがクロノに押し出される形で前に出た。
【きっちり自分の口から告げたまえ】
【……後で覚えていてくださいよ】
そんなやりとりを交わし、ユーノは周囲を見渡して、意を決して告げた。
「僕も、ミッドに戻る事にしました」
その発言に驚いたのは、高町家を除く全員だった。特にアルフの驚きは大きい。本人から帰るのは高町の家だと聞いていたからだ。
「まず、僕の事で心配している部族の皆を安心させたい。そして、フェイト達と同じように、僕もこの世界で暮らせるように許可を取ろうと思うんだ」
ユーノがそう言うと、全員に納得の空気が漂った。特に顕著だったのはすずか。それをはやてに指摘され、慌てて手を振っていた。
「ただ、ジュエルシードの事で色々と話さなきゃいけない事が多いからね。時間は……フェイト達よりも掛かると思う」
その一言に、再び空気が微かに重みを増す。だからこそ、ユーノは笑顔で言い切った。
必ず帰ってくると。『家族』がいるこの町に。”親友”がいるこの町に絶対帰ってくると。
その言葉は、紛れも無いユーノの決意。それを感じ取り、なのはは笑顔で頷き、思う。
(ユーノ君、嘘吐かないもん。……信じて待ってるからね?)
念話で言わないのは、何か恥ずかしい気がしたから。そして、何かすずか達に悪いと思ったから。
自分だけ魔法に頼るのはズルイと感じたからこそ、なのはは心で呟くだけにしたのだ。
こうして、この日のパーティーは終わりを告げた。幾多もの縁を繋ぎ、またそれが新たな絆を生む。
そして、いつか絆は奇跡を紡ぐ力へとなる……。
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最終回前半。かなり登場人物多くて大変でした。
それぞれに何とか焦点を当てたつもりですが、どうだったでしょう?
次回、無印完全完結。