全日本盲導犬使用者の会
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盲導犬使用者のマナー

会報32号より 2009年2月

 全犬使会では、毎年、総会や交流会を全国各地で行なっている。その目的の一つに「使用者のマナーの向上」がある。特に経験の浅い使用者にとっては安心して参加できる大会であり、多くの先輩使用者やボランティアのサポートを受けてパートナーのコントロールやマナーについて実践的に研修していただく良い機会になっていると思う。
 これまで何度か、全犬使会の研修会やメーリングリストでマナーについて議論したことがある。しかし、一定の結論は出ていない。なぜ、このマナーに関する議論が白熱するにもかかわらず、一定の結論が得られないのだろうか。
 マナーという言葉を辞書で引いてみると、「行儀作法」と書いてある。「マナーの良いユニット(使用者とその盲導犬)」これは大変良いことである。しかし、このマナーがあたかも「ルール(規則)」かのごとく事細かに決められると、そのマナーを「守れない」あるいは「守らない」使用者が出てくる。そんな使用者に対して「盲導犬使用者としての資格がない」と、排除する空気が出てくる。マナーのハードルが上がれば上がるほど、その対立が大きくなるのである。
 マナーはルール(規則)とは違う。マナーは堅苦しく解釈して適応するマニュアルでもない。マナーは人が気持ちよく生活していくための「知恵」であり「気遣い」なのである。
 また、マナーは、国・民族・文化・時代・宗教などのさまざまな生活習慣によって、その形式が異なることも忘れてはならない。その意味で日本は、盲導犬と共に暮らすにはハードルの高い国なのかもしれない。
 そこで、盲導犬使用者として「しなければならないこと(義務)」「してはならないこと(禁止)」「した方が良いこと(推奨)」「しない方が良いこと(遠慮)」を整理して考えてみてはどうだろうか。
 まず、「しなければならないこと(義務)」「してはならないこと(禁止)」は、盲導犬使用者として最低限守らなければならないこととして「ルール化」し、全国どこの盲導犬訓練所でも共通に、また徹底的に指導していただくのである。これは本当
に当たり前のことで良い。身体障害者補助犬法に明記されている使用者の義務も、これに入る。そして、著しく問題のある使用者は、ホローアップし、場合によっては訓練所の責任で盲導犬使用者としてのライセンスを取り消すぐらいのことをしてほしい。
 それから、「した方が良いこと(推奨)」「しない方が良いこと(遠慮)」をマナーとしてまとめ、状況に応じて個人の責任と判断で対応するようにするのである。
 例えば、「しなければならないこと(義務)」として、盲導犬を適切にコントロールするための服従訓練の励行、獣医師による定期的な健康診断や予防接種、定期的なシャンプーやブラッシングなど、さまざまなことがあるだろう。また、「してはなら
ないこと(禁止)」として、パートナーへの虐待、路上での排泄物の放置、足を拭かないまま畳の部屋に上がる、ホテルで使用者と同じベッドで一緒に寝る、公共の場でのノーリードのフリーランなど、これもさまざまなことがあるだろう。
 また、「した方が良いこと(推奨)」としては、例えば、抜け毛対策用の洋服の着用があろう。これはケースバイケースで良いと思う。抜け毛の多い時期とほとんどない時期があるだろうし、行く場所によっても異なる。冠婚葬祭のときなど黒い服を着
ているので、僅かな毛でも目立つようである。犬の体質で洋服が着れない場合もある。ただ、抜け毛が大変迷惑をかける可能性があることは、使用者として知っておかなければならない。このような事例は他にもいろいろあるだろう。
 「しない方が良いこと(遠慮)」としては、例えば、盲導犬の首輪に付ける鈴がある。個人で楽しむ分には何の問題もないが、コンサート会場や映画館などでは大変ノイズになる。音が周囲の人に迷惑をかける可能性があることも、使用者は知っておかなければならない。このような事例は他にもいろいろあるだろう。
 「した方が良いこと(推奨)」「しない方が良いこと(遠慮)」も、さらに「できるだけした方が良いこと(積極的な推奨)」「できればした方が良いこと(消極的な推奨)」「できればしない方が良いこと(消極的な遠慮)」「できるだけしない方が良いこと(積極的な遠慮)」などと、ランク分けしても良いかもしれない。いろいろな状況があり、ある程度のはばがあるのである。この辺を具体的な例を挙げて整理し 、「ガイドライン」としての「マナー集」を考えてみるのも良いと思う。
 私たちは盲導犬を使って社会の中で生きている。一人前の社会人として生きていかなければならない。そのために「気遣い」や「心配り」であるマナーについて、
「知恵」や「アイディア」を持ち寄って考えてみようではないか。マナーは私たちを縛り付けるものではなく、私たちを輝かせるものである。スマートでかっこいい盲導犬ライフを楽しむためにマナーの議論を深めて行きたいものである。

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新幹線で隣席の人に気がねしないためのスマートマナーテクニック

☆ポイント☆ 車輌最後尾で通路側の座席を確保する
☆テクニック☆ 座席の後ろと壁との間にあるスペースに、盲導犬を伏せさせる。
大きな荷物があれば、そのスペースの通路側に置き、通路への出口をふさぐようにする。
☆コメント☆ 乗り物で問題になるのが盲導犬の置場所です。
 特に長時間の乗車では、隣席の人に迷惑にならないかと気がかりですし、狭いスペースで長い時間じっとしていなければならない盲導犬への負担も気になります。
 そこで、今回は新幹線を利用する際のテクニックをご紹介しましょう。
 まず、車輌最後尾で通路側の座席を確保します。
 新幹線の車輌の最後尾の座席と後ろ側の壁との間には、かなりのスペースができています。ここに盲導犬を伏せさせれば、隣席の人のことを気にする必要もありませんし、盲導犬もゆったりとしていられます。
 この時、大きな荷物があれば、そのスペースの通路側に置いて、盲導犬が通路にはみ出さないようにします。こうすることで、車内販売のワゴン車の邪魔になることもありませんし、何より盲導犬自体の安全が保たれます。
 盲導犬の様子が気になるようならば、リードを長くして座席の間から出る、手に持つか肘掛けにかけるようにすると良いでしょう。 これで安心して長時間の新幹線での旅行も楽しむことができますね。
 ところで、座席の確保についてですが、トイレの位置をも考えて車輌も選ぶようにすると便利です。
 例えば、東京から大阪へ向かう新幹線では奇数号車の後ろにトイレがありますから、座席は奇数号車の最後尾が良く、大阪から東京へ向かう場合には偶数号車の後ろがトイレになりますので、偶数号車の最後尾の座席を確保すると便利です。
 こうした座席を確保できなかった時には、隣席が空いている座席へ換えてもらうよう車掌さんに申し出れば、空いていれば案内してもらえます。
 また、車輌最前列の席も、中間の席よりはスペースが広くなっています。座席からの出は入りを考えれば通路側が良いでしょうし、通路にはみ出さないようにするなら窓際の方が良いでしょう。どちらにするかは、その時の状況で判断されると良いと思います。
 参考までに、東海道新幹線では700Kタイプでは座席間のスペースが広く、中間の座席でも比較的楽かと思います。

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