ヒトは1万5000年ほど前に農耕を始めるまで、狩猟採集で糧を得ていた。ヒトはチーターのように速く走れないし、ゴリラのように力が強いわけでもない。しかし直立二足歩行という効率的な移動方法を身につけたおかげで、長距離をラクに移動する能力に長けている。その天賦の才を活かして、農耕までは原野をほっつき歩いて動物を狩り、植物の種子や根茎などを探して食べていた。
穀物や野菜などの植物性食品を大量摂取するようになったのは、太古の地球温暖化がきっかけ。環境の激変で狩猟の対象だった動物が絶滅したり移動したりした結果、大事なタンパク源が激減。それを埋め合わせるために温暖化で繁殖した植物を食糧にする。それが農耕の始まりで、やがて野菜を育てるようになった。
さらに、野菜は微量ながら毒を含む。その毒素に敏感だと野菜嫌いに陥る可能性もある。
野菜=ヘルシーというイメージが強すぎるので、野菜に毒があると聞くとびっくりしてしまうけれど、考えてみるとそれは当たり前のこと。
「植物は動けないから、捕食者の動物や昆虫から逃げるわけにはいかない。だから生き延びるために毒性のある化学物質を作り、食べられないようにしているのです」(東京大学生産技術研究所の渡辺正教授)。野菜の毒素はいわば天然の農薬だ。
道端の雑草を食べるとたぶん下痢をするだろうが、同じように野菜にも本来は胃酸でも肝臓の解毒作用でも太刀打ちできない毒素がどっさり入っていたに違いない。原種からの品種改良の過程で毒性は下がったとはいえ、ゼロになったわけではない。
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