“日の丸輸送機”晴れて空自へ引き渡し 国際任務でも活躍期待
専用格納庫から引き出される空自の次期固定翼輸送機XC2試作初号機(3月30日、川崎重工業岐阜工場で)
民間転用推進へ検討会も
「日の丸輸送機」XC2が晴れて空自に引き渡された。3月30日、川崎重工業岐阜工場の格納庫で行われた納入式には、川重の長谷川社長、航空宇宙カンパニーの元山プレジデント、防衛省から北沢防衛相、外薗空幕長、佐々木技本長、岡ア装本長ら関係者約350人が出席。
長谷川社長はあいさつで関係者に謝意を述べるとともに、「XC2はXP1とともに大型固定翼機の2機種同時開発という類を見ない世界初のプロジェクト。両機には多くの新技術、新システムが導入され、困難や課題も多くあったが、オールジャパン態勢で開発を進め、今年1月26日に初飛行を行った。世界最新鋭の次世代輸送機として任務を遂行するものと確信している」と述べ、岡ア装本長に目録を渡した。
北沢大臣もあいさつに立ち、開発に携わった関係者に謝意と敬意を表した上で、「より大きな搭載量、長い航続距離を持つ次期輸送機は、国際平和協力活動などの各種任務に重要な役割を果たしてくれると確信している。2機種同時国内開発で蓄積された貴重な経験と技術力は、わが国の航空産業の発展に大きく寄与すると期待している」と述べた。
北沢大臣はまた、川崎重工業が同機の民間機転用を検討していることにも触れ、防衛省でも民間転用を推進するための検討会を立ち上げて検討したい、とした上で、「民間転用は量産効果による装備品の価格低減など、わが国の防衛政策、技術基盤の維持・強化につながる」と述べた。
この後、同機の検査に当たった空自隊員に花束が贈られ、関係者によるテープカットの後、XC2は牽引車で屋外に引き出された。
XC2は技本が平成13年度から“兄弟機”の海自次期固定翼哨戒機(XP1)とともに開発に着手した輸送機で、全長・全幅44メートル、全高14メートル、最大搭載量は約30トン。機体にはフライ・バイ・ワイヤー操縦システム、飛行管理システム、省力化された搭載卸下システムなどを採用した世界最新の戦術中型輸送機で、C1に比べ最大搭載量は3倍の約30トン、速度・航続距離なども大幅に向上し、12トン積載の場合で約6500キロの航続距離があり、自衛隊の国際平和協力任務などでの活用も期待されている。
初号機は技本と飛実団が共同で平成25年まで技術実用試験を行う。2号機は23年3月に防衛省に納入される予定。