習近平氏、1年前には「準備不足」と辞退(下)

 しかし、香港の政治書によると、習副主席は普段は寡黙で慎重かつ真っすぐな性格だと評されている。持って生まれた部分もあるが、9歳の時に父親の習仲勲元副首相が粛清され、ひどい拷問を受けるのを見て、大人びた性格になったという。座右の銘は「自豪不自満、抑揚不張揚、務実不浮躁(慢心せず、高揚せず、調子に乗らない)」だ。

 シンガポールのリー・クアンユー顧問相(元首相)は「知覚あふれる人物だ。強い感情抑制力を備える。個人の不平が判断に影響を与える人物ではない」と評した。曽慶紅・前政治局常務委員も「トウ小平同志が江沢民同志に総書記ポストを任せたのは、政治的素質を高く評価したからだ。習近平もそんな人物だ」と信頼を寄せた。

100万人に送ったメッセージ

 習副主席が元老たちの慶弔を重視するのは、その政治的素質の表れだ。劉少奇元国家主席、王震元国家副主席らの生誕行事には欠かさず出席する。また、今年は新年を迎えるに当たり、全国の党組織の書記100万人に個人名義でメールを送った。習副主席はメール1通で地方の下級幹部たちの心を一瞬にしてつかんだ。

 香港、台湾など中華圏の一部評論家の間には、批判的な見方もある。「能力は普通」「開拓精神が不足している」「典型的な従順型の幹部だ」といった具合だ。しかし、中国の最高指導者の徳目としては、「賢さ」よりも「人格の円満さ」が求められるだけに、習副主席は基準にかなり合致する人物だ。たまに直言するところも、弱い人物ではないことを示している。

 北京五輪の準備過程で、「われわれは数多くの逆境を乗り越え、国家発展を成し遂げた。天や人を恨んだりはしない。方向が定まれば、われわれの道を行くだけだ」と語った言葉からは、そんなパワーが読み取れる。

呂始東(ヨ・シドン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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