2010年10月20日3時0分
ネット検索世界最大手の米グーグルが、日本のヤフーに検索技術などを提供する提携をめぐり、ネット商店街最大手の楽天が「実現すれば、グーグルの支配力が強まり、独占禁止法に違反する」として、同法に基づき、公正取引委員会に調査を求める手続きをとったことが19日わかった。米マイクロソフト(MS)も公取委に同様の申告をしており、有力なネット企業4社が日本国内で対立する構図となった。
楽天によると、問題を指摘する文書を5日に提出した。提携でグーグルの検索エンジンの利用が増えて、情報が集中し、ネット検索や検索と連動する広告などの分野でグーグルの支配的な地位が強まるおそれがあると訴えた。
これまでネット検索で国内シェアを二分していた日本のヤフーとグーグルが提携すれば、シェアは事実上9割を超える。楽天は「提携によって、日本のネット産業全体の成長にも悪影響がある」と指摘している。
楽天によると、ヤフーやグーグルの検索結果から、楽天のサイトを訪れる利用者も少なくないという。楽天幹部は「万が一、グーグルに検索エンジンの仕組みを恣意的(しいてき)に変えられれば、ビジネスに大きな影響がある」と話した。
一方、ヤフーは「利用者や広告主にはまったく変化はない。(検索技術の提供は受けるが)今後も(グーグルと)競争し続ける」と反論している。同社はグーグルの技術に基づく検索結果を加工し、独自のデータも加えると説明。検索連動型広告についても、広告主の情報管理や広告料の決定などの営業活動はこれまで通り、両社が別々に行うとしている。
ヤフーによると、同社は年内の提携開始に向け、すでにグーグルの検索エンジンの試験を始め、全体の5%程度に導入している。(五十嵐大介、小島寛明)