公明党の漆原良夫国対委員長(65)が衆院議員会館の事務所に長く飾っていた田中角栄元首相の額縁入りの写真が、7月の新議員会館への引っ越しに伴い取り外された。
「金権政治」で功罪半ばする元首相と「クリーン」が売り物の公明党。意外な組み合わせだが、漆原氏は同じ新潟県出身の元首相に心酔してきた。
96年衆院選で初当選すると、同郷の自民党議員に頼み込み、元首相の写真10枚を入手。そのうち、手を振り上げて演説する1枚を額に入れた。個人的な接点はないものの、「越山会の女王」と呼ばれた故・佐藤昭子さんから「オヤジ(田中氏)は『国家の危機には必ず公明党が助けてくれる』と話していた」と伝え聞いたときには感激した。
野党転落後も自民党と良好な関係を維持してきた漆原氏。写真の撤去は、民主党との間合いをつめ始めた党執行部への気兼ねか、それとも……。本人は「新しい部屋に移ったのを機にしまっただけ」と多くを語らない。【岡崎大輔】
毎日新聞 2010年10月19日 東京朝刊