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【大リーグ】オズワルト 投打走で5年ぶり白星 PS無傷5連勝でフ軍1勝目2010年10月19日 紙面から
ロイの敵はロイが討った。17日(日本時間18日)、ナ・リーグの優勝決定シリーズ(7回戦制)第2戦が行われ、フィリーズ(東1位)がジャイアンツ(西1位)に6−1で雪辱し、1勝1敗に持ち込んだ。エースのロイ・ハラデーで初戦を落としたフィリーズは、先発ロイ・オズワルト(33)が8イニングを毎回の9奪三振で1失点に抑え、打撃でも7回に追加点の口火を切る安打を放って激走の生還と大暴れした。第3戦は19日(同20日)、サンフランシスコに舞台を移して行われる。 ◆三塁コーチ制止振り切る8イニングを投げ終えてベンチへと歩くオズワルトに、4万6099人の満員観衆から総立ちの拍手が降り注いだ。肩をそびやかし、胸を張る。満足そうに観客席を見渡し、のっしのっしと大またにベンチへ戻ると、ハイタッチを求めるナインと高らかに手を打ち鳴らした。 ポストシーズン(PS)無敗の力を見せつけた。敵軍ハフが「ボウリングの球のようだった」と評した93マイル(150キロ)前後の重い直球を中心に組み立て、65マイル(約105キロ)のスローカーブには打者の体勢が泳ぎっぱなし。毎回の9奪三振、PSでは5年ぶりの白星で無傷の5連勝だ。「きょうは直球が走っていた。ポストシーズンで一番大きいのは流れだ。こちらに流れを引き寄せたかった」。前日の第1戦で敗れたエース右腕の“ビッグ・ロイ”ハラデーの敵を討った“リトル・ロイ”は力強かった。 本業だけではない。打って、走って、巨人の足元をふらつかせた。2−1の7回に外角球を中前に運ぶと、犠打で二塁へ。1死一、二塁から3番ポランコの中前打にペロゾ三塁コーチの制止を振り切り、本塁突入だ。左足から間一髪で滑り込み、貴重な3点目をもたらした。「三塁を回って半分も行ったところで、ストップのサインに気が付いたが『遅すぎる。戻れない』と。後で(三塁コーチから)『おれは両目を手で覆ったよ』と言われた」。この後、チームはさらに3得点。自身の言葉通りに勝利への流れをつくった。 PS出場は5年ぶりで、10月に投げられる喜びをかみしめている。孤高のエースとして引っ張った古巣アストロズはチーム再建の方向性が見えず、業を煮やしてトレード志願。7月29日にフィリーズへやって来た。新天地では水を得た魚で、移籍後は7勝1敗、防御率1・74。逆転地区Vの原動力となった。「このチームは勝つ雰囲気に満ちている」。勝利に飢えたメジャー10年目の右腕が、リーグ3連覇への戦いをがっちりとリングのド真ん中まで引き戻した。
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