日本相撲協会は18日、米大リーグのヤンキースとエンゼルスで松井秀喜外野手(36)の広報を務めてきた、現エンゼルス球団職員の広岡勲氏(43)に広報部の特別アドバイザーを委嘱したと発表した。広岡氏はスポーツ新聞の元記者で、松井がメジャー移籍した際に請われて“松井番”に就任した広報の専門家。任期は来年2月中旬まで。役割は広報全般に関する指導や助言で、松井の後押しを受けたという同氏が協会改革の一翼を担う。
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任期は大リーグのキャンプインまでの約4カ月。非常勤で報酬はなし。ガバナンスの整備に関する独立委員会(独立委)が提案した「年俸1000万円による公募」と大きな開きがある条件で、現役バリバリの広報が相撲協会にやってきた。松井番の広報を約8年務める広岡氏が、改革の一端を担うことになった。
数週間前に打診を受け、数日前に放駒理事長(元大関魁傑)に返事をしたという。就任にあたり「相撲の組織はヤンキースと似ていると感じた。強いだけじゃなくて、伝統を大切にする。それを引き継いでやるのは通じるものがある。スポーツの種類は違えど、(改革案の)デッサンはできる」と所信表明をした。
松井とも相談した。「“待っている方がいるのであれば、やるべきじゃないか”と言われた。彼も相撲が大好きなので」と送り出されたことを明かした。相撲協会では広報業務全般に関する指導や助言を担当する。
知人の紹介で採用した放駒理事長は「組織のどこを改善すべきか見てもらおうと思い、お願いした」と期待を寄せた。相撲協会広報部長の補佐役となる一般公募については「公募がなくなったわけではない」とし、広岡氏の任期が切れる2月中旬以降に、公募による外部招へいの必要性を再検討する。
当初、独立委から公募案が提示されていたが、独立委が理事会に一任する形に軌道修正し、最後は理事長のツルの一声で決まった。広岡氏は「これから勉強する」としながらも「(広報体制改善へ)マニュアルを作って対応したい」と、広報部の意識改革に意欲を燃やした。