中国共産党は北京で開いた第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、習近平国家副主席を党中央軍事委員会副主席に選出した。2年後の党大会を経て、習氏が胡錦濤国家主席の次の最高指導者になるのはほぼ確実になった。
中国はいまや、世界の行方を左右しかねない影響力を持つ。世界金融危機の後、いち早く高成長軌道に復帰して世界経済を引っ張る一方、有数の軍事大国になった。
胡主席が最高指導者となった8年前とは、世界の中での重みが全く違う。習氏をはじめ次世代の指導者たちは、「世界の中の中国」のあり方を真剣に考え、大国としての責任を果たしていく必要がある。
世界経済の持続的な成長に役立つ、人民元相場の柔軟性を高める改革や内需を拡大する努力が一層求められる。近年の急速な軍拡や膨張主義的とも映る領土・領海の主張が招いている周辺諸国の懸念にも、耳を傾けなければならない。
中国の台頭に対する世界の不安を和らげるためにも、習氏らが取り組むべき最大の仕事は、格差の拡大や環境の破壊など高成長の下で深まった社会矛盾への対処だろう。
湖北省の武漢で18日、反日デモが起き、一部が暴徒化したと伝えられた。事実とすれば、内陸部での反日デモの暴徒化は3日連続だ。
背景には社会矛盾に対する国民、特に若者たちのうっ積した不満がある。中国が大国の責任を果たすには、内なる矛盾を解決し安定した社会を築く努力が欠かせない。
5中全会が、来年からの次期5カ年計画の目標として社会的な公正を高めていく方針を決めたのは当然と言える。問題は具体策と実行だ。
当面は5カ年計画を正式に決定する来春に向け、どこまで中身を充実できるかが問われる。貧富の格差を抑えるための税制改革、都市と農村の格差を固定化してきた戸籍制度の改革など、難しい課題は多い。
政治と社会の透明性を高め法の支配を確立するための取り組みも焦点だろう。深刻な社会矛盾の根底には、弱い法治と言論統制が横たわっているからだ。
父親が共産党の高官だった習氏は「太子党」の一員と呼ばれる。公正さと透明性を欠いたシステムの象徴と中国の国民が受け止めるおそれは否定できない。民主的な改革に力を注ぐ必要性は大きいはずだ。
人脈的には反日的な教育を進めた江沢民前国家主席に近いとされる。日本は過剰に身構えるべきではないが、注視していく必要があろう。
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