2010年8月24日 21時25分 更新:8月25日 9時29分
【メキシコ市・國枝すみれ】チリ北部アタカマ州にあるサンホセ鉱山の落盤事故で約700メートルの地下に閉じ込められた作業員33人は、17日ぶりの無事確認から一夜明けた23日、元気に国歌を歌うなど意気軒高な様子を見せた。ただ、地上から新たに救出用の穴を掘るには約4カ月かかるとみられ、作業員の精神・肉体面の健康を懸念する声も出ている。
33人は今月5日の落盤事故で閉じ込められた。地下の避難所には水と食料が保存されていたが、食料は乏しく、48時間ごとにツナ缶をスプーンに二口と牛乳を一口飲み、そしてビスケットを食べて生き延びてきた。体重はそれぞれ8~9キロ減ったという。
避難所の広さは約50平方メートルだが、長さ約1.8キロのトンネルに通じており、自由に歩き回ることができる。33人は坑道内のトラックのバッテリーを使ってヘッドライトを充電し、光源にしていた。地下の温度は32~35度とみられる。
救助隊は地上から避難所につながる直径10センチの穴を食料供給に使用、23日には高栄養剤が届けられた。さらに新しく二つの穴を掘って換気用、通信用として使う予定だ。
33人を救出するため、ダイヤモンドの刃がついた特殊な掘削ドリルで人が通れる大きさの穴を掘る計画だが、1日20メートルしか掘り進めないという。現場は地盤が弱く、2次災害のおそれもある。
一方、作業員の精神的安定を保つための取り組みも。22日に「全員元気だ」との手紙を地上に届けた作業員マリオ・ゴメスさん(63)に対し、妻のリリアナさん(51)は「再会できるまで待ち続けるわ」との手紙を書くという。ロイター通信によると、リリアナさんは「結婚30年にしてラブレターをやりとりするなんて」と話した。