証券優遇税制:3年程度延長を要望へ 株価下支えの必要

2010年8月23日 19時37分 更新:8月23日 22時49分

 金融庁は11年末に期限を迎える証券優遇税制について、3年程度延長するよう要望する方針を固めた。月内に財務省に提出する11年度税制改正要望に盛り込む。円高進行や景気の先行き不透明感などを背景に、株安が進んでいることを懸念。株価を下支えする必要があると判断した。

 証券優遇税制は、上場株式の配当や譲渡益にかかる税率を本来の20%から10%に軽減する措置。「貯蓄から投資へ」の流れを加速し、証券市場を活性化する狙いで、自民党政権時代の03年度に導入された。08年秋の世界的な金融危機による株価下落を受けて、09年度税制改正で11年末まで3年間延長されることになった。

 ただ、優遇税制に対しては民主党内に「金持ちに有利」との批判もあり、鳩山由紀夫前首相は今年2月、衆院財務金融委員会で打ち切りに向けて議論を進めることに言及するなど、見直しの機運も出ていた。

 金融庁も7月末から3回にわたり、有識者でつくる金融税制調査会(座長・大塚耕平副内閣相)で今後の証券税制のあり方を検討。優遇税制廃止の是非や、上場株式や株式投資信託の配当と譲渡損益に加え、預金金利や先物取引など金融商品に関するすべての損益を合算した所得に課税する「金融一体課税」の導入など抜本的な金融税制改革について議論していた。

 しかし、円高進行などを材料に、8月の東京株式市場では、日経平均株価が年初来安値を更新する展開が続いており、現時点での証券優遇税制の打ち切りは市場への打撃が大きいとみている。【中井正裕】

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