明石市と淡路島を結ぶ明石淡路フェリー(愛称たこフェリー)が、11月16日からの運航休止を発表してから利用者が増えている。同社が18日まとめた利用状況によると、16、17日の土日は今月初めの土日に比べて約2倍の利用者があった。休止発表で利用者が増えるという皮肉な状態に関係者は複雑だが、利用者からは存続を望む声も上がった。
同社によると、16、17日の2日間に、バス・トラックを含む車は明石、岩屋両港から計1079台が乗船。今月2、3日の乗船台数(599台)の1・8倍を記録した。オートバイは計937台で同2、3日(422台)の2・2倍だった。積み残しも12回あった。
運航フェリーは現在1隻による1時間おきの発着で、明石港の乗り場では一時的に乗船待ちの車の列ができた。小学生のときに乗って以来という芦屋市の会社員、湊理顕さん(39)は「淡路島へは橋を使うことが多かったが、フェリーが廃止されるかもしれないので」と、家族4人で乗船した。また、明石市内の女性(37)は「子どもたちは船が好きだから、なんとか存続してほしい」と話した。
同社の国安亜津志・フェリー事業部長は「思いのほか、『休止』の反響が大きかった。最後まで使命を果たしていきたい」と話した。【南良靖雄】
〔神戸版〕
毎日新聞 2010年10月19日 地方版