明石名物・タコのイラストを船体にあしらい、兵庫県明石市と淡路島を結ぶ第三セクター「明石淡路フェリー」(同市)の愛称「たこフェリー」の元になった「あさしお丸」(1324トン)がタイ・バンコクのフェリー会社に売却され、明石港から15日午後、タイに向け出航した。経営難に陥っている同社の再建策の一環で、観光船として異国で“第二の人生”を送る。
全長65メートル、定員467人で、89年就航。左右の両舷いっぱいに赤色のタコが描かれ、同社の3隻の中で最も人気を集めた。同社は00年に愛称を公募し、最多だった「たこフェリー」を採用した。
しかし、競合する明石海峡大橋の通行料割引や燃料高騰の影響で、同社が05年度以降、赤字に。今年度も1億円以上の赤字が見込まれ、2隻をタイに売却した。1隻は現地で既に就航した。
明石観光協会の榎本伸行専務理事は「明石海峡のシンボルが見られなくなるのはさみしい」と漏らした。
同社を巡っては、筆頭株主の「ツネイシホールディングス」(広島県福山市)が撤退と航路廃止を提案し、明石市と淡路島内の3市が対応を協議している。【南良靖雄】
毎日新聞 2010年10月15日 13時38分(最終更新 10月15日 14時14分)