2010年09月03日

<東京共同法律事務所 宮里邦雄先生>

photo_miyazato宮里邦雄先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1.私は、司法試験合格後、裁判官か弁護士になろうと考えていました。その中で、弁護士になろうと思った理由は2つあります。1つは弁護士の仕事はいろいろな問題を抱えた人々と直接的に接することができること、もう1つは裁判官よりも自由度が高い仕事と考えたので、弁護士になろうと決意しました。



Q2.どのような学生時代を過ごされていましたか。
A2.私は、60年安保世代でして、学生運動が非常に盛んなときに学生時代を送りました。私も安保反対のデモなどによく参加しました。また、サークルとしてセツルメント法律相談部に所属し地域の人々の賃料増額や家屋の立退きを求める問題などの法律相談に乗っていました。このような活動を通じて、社会問題に関心を持つことができ、法律家を志す気持ちが強くなっていきました。

Q3.受験時代の苦労話や勉強をする中で工夫したことを教えてください。
A3.大学3年生頃から、月曜日から金曜日の朝から晩まで大学の図書館に篭って勉強していました。また、法律家を目指す友人達とディスカッションしながら勉強しました。議論することは法律的な論点の発見や論理的な思考力を身につけるためにも非常に重要でしたね。

Q4.司法試験のために学んだ知識が実務の中で役立つと思うことを教えてください。
A4.学生時代の勉強というのは、法律の構造や基本的な考え方を学び、土台を作る段階だと思います。なので、司法試験のために学んだ知識がそのまま実務の中ですぐに役立ったと思ったことはあまりないですね。

Q5.司法修習時代の経験や思い出について教えてください。
A5.法曹3者の仕事がどのようなものかを理解するために有意義な経験でした。そして、法曹3者の中で自分にどれが適しているかを見つける場だと思いますね。私は、もともと労働法に関心がありましたが、労働関係の事件を傍聴する中で、労働事件をやりたいと考えるようになり、今の専門性に繋がっていますね。

Q6.最初に入所した事務所を選んだ理由と、なりたての頃の苦労について教えてください。
A6.私は労働関係の仕事をしたいと考えていたので、都内の労働問題を数多く手がけている事務所を選択しました。なりたての頃の苦労は、学生から弁護士になっているので、社会で働いた経験がなく、働くことの大変さを知らなかったことですね。労働者の本当の気持ちを理解することが難しかった。経験を積み重ねるなかで、理解できるようになりました。

Q7.ご依頼者様と接する際に、特に気をつけていることは何ですか。
A7.できる限り丁寧に事実関係を聞くことですね。まず、先入観を持たず依頼者と接すること、すぐに法律的な論点だけを聞き出そうとするのではなく、広く深く聞かないと大事なことが抜けてしまうことがある。話しやすい雰囲気を作り、相談者の側に立ってまず聞くという努力をしています。そして、解決の方向性を示し、依頼者と一緒に考えて、納得してもらう努力をしています。

Q8.休日はどのような過ごし方をしていらっしゃいますか。
A8.休日はクラシックを聞いたり、小説を読んだり、たまに芝居やオペラを観に行ったりということでしょうか。もっとも、休日に事件関係の調べごとをしたり、原稿を執筆したりすることも少なくありませんが・・・。

Q9.弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A9.関心があるのは、労働事件ですね。今は格差と貧困が拡がり、雇用も不安定ですし、賃金や労働条件の悪い人々が増えています。そういう人達の生活や人権を守りたい。さらに、その人たちを守るために、労働法制の整備などの問題にも取り組んでいます。働く人の間で労働法の基本的な知識や権利意識が非常に弱くなってきています。労働者の権利意識向上にも関心を持ってやっていきたいですね。

Q10.新司法試験制度や弁護士大増員及び今後の弁護士業界の動向についてどう思いますか。
A10.弁護士業界はとても大きな問題に直面していると思います。弁護士大増員の中で、やりたいことがありながらも、生活の面からそれが出来ないという非常に弁護士にとって大変厳しい時代になってきています。希望する弁護士事務所に行けないということも現実に起こっています。法律家養成制度や弁護士大増員問題を基本的人権や法のルールを広め定着させるという公共性という視点をもって社会全体で考えてほしいと思います。

Q11.弁護士に最も求められるものはなんですか。
A11.依頼人の権利や利益を守り、そのことを通じて社会の問題の解決に寄与するというこの職業に対する使命感・責任感、そして何よりもパッションが求められると思います。
 
Q12.ページをご覧になっている一般市民の方にメッセージをお願いします。
A12.依頼者として自分がしてほしいことを遠慮せずに率直に言ってほしい。また、事実に関しても全て言って欲しい。言っていただければ、弁護士も正しい判断ができると思います。自分だけで悩まず、弁護士という職業を活用してほしい。お金の問題も心配されると思いますのが、お金についても疑問があれば率直に言ってほしい。依頼者と弁護士の間で信頼関係を築くことが良い解決を実現するためには必要なのです。

Q13.これから法曹を目指す学生にメッセージをお願いいたします。
A13.社会の問題に関心を持ち、幅広い教養と人間性を身につけてほしい。そして、法律の勉強をしっかりして貰いたい。

<取材学生からのコメント>
宮里先生のお話から、仕事への情熱を感じることができました。また、社会の問題にも非常に興味を持たれ、さらにしっかりと考えていらっしゃいました。自分もこれから社会の問題に興味を持ち、しっかりと考えていこうと思いました。貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。

東京理科大学大学院理工学研究科2年 河村康希

 

 



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