農林水産省と外務省が調査研究事業を委託や補助した6公益法人に対し、06~08年度で計約1億4000万円も過大に人件費を支払っていたことが会計検査院の調査で分かった。両省は6法人から、実際の給料より多額の給料を職員に支払ったとの報告を受けて、事実関係を確認せず要求額通り支払っていたという。検査院は両省にチェック体制を改めるよう改善を求めた。
関係者によると、検査院は今年、国から多額の委託や補助事業費を受ける公益法人を調査。委託や補助事業の人件費は、公益法人が実際に職員に支払う給料を基に計算して支払われる。しかし、6法人は職員の中に民間企業からの出向者がおり、出向者の給料の一部を企業側も負担していたのに、法人が全額支払っているとの書類を両省に提出。両省は書類の内容を詳細にチェックせず、そのまま人件費を払っていた。
検査院は国側の責任を重視し、公益法人側に過払い分の返還は求めない。
検査院の指摘に農水省は「一部法人で人件費の請求について認識が甘く、省の担当者もチェック不足だった。今年度からマニュアルを改訂しチェックを厳しくする」。外務省は「その件についてお答えすることはない」としている。【桐野耕一】
毎日新聞 2010年10月15日 15時00分