地元と米軍摩擦深刻 普天間騒音激化 広場を封鎖

市民感情 悪化の一途

2010年10月8日 09時41分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 外来機飛来による騒音激化や米軍嘉手納基地の滑走路改修に伴う代替使用など普天間飛行場の機能強化につながる動きが相次ぎ、米軍と地元との摩擦が深刻化している。5日にはF15の飛来に伴い、過去5年間で最大となる123・6デシベルの猛烈な爆音を宜野湾市内で記録。市民団体の集会では「ヤンキー・ゴー・ホーム」といった攻撃的な言葉も聞かれるようになった。一方、米軍は、市民に開放してきた基地内の広場を封鎖するなどして抗議行動に対抗し、火に油を注ぐ結果に。基地の安定運用とはほど遠い状態が続いている。

 米軍は9月21日、嘉手納基地の滑走路改修に伴って緊急時には普天間に目的地を変更(ダイバート)すると通告。「ダイバートが行われないよう最大限の努力をする」としたが、今月5日にはF15戦闘機2機が2度にわたり飛来した。着陸こそしなかったものの、滑走路すれすれを低空飛行し、心臓を病む市民から「命にかかわる」との苦情も市に寄せられた。

 戦闘機が主力の嘉手納基地の方がヘリ基地の普天間より、単純な騒音レベルは通常は大きい。だが、普天間は住宅地との距離が近く、いったん戦闘機が飛来すれば嘉手納をしのぐ爆音が発生する。先月後半はFA18ホーネットの飛来も集中し、9月22日から10月5日の2週間に100デシベル以上が27回記録され、「ジェットエンジンの近く」に相当する120デシベルを超えることもあった。

 こうした騒音激化に加え、オスプレイ配備や、代替施設建設が進まなかった場合は普天間を強化する計画なども明らかになり、米軍に対する市民感情は抜き差しならない段階まで悪化しつつある。基地前の抗議行動は過熱し、道交法などの順守を求める警官隊と、「基地の違法状態を放置している日米両政府こそ悪質」と主張する市民団体との間で小競り合いも起きた。

 一方、米軍は1日に開かれた抗議集会を受け、1970年代から市民に開放している広場を治安上の理由で突然封鎖。一時は数百台の車が閉じこめられ、市民からは「八つ当たりとしか思えない」「米軍は恥ずかしくないのか」と非難が巻き起こった。米軍はその後も平日の閉鎖を継続しており、広場を使っている少年野球やグラウンドゴルフにも影響が出ている。地元の少年野球のコーチは「ほかに練習する所もない。早く開けてほしい」とうんざりした様子で話す。(中部支社・鈴木実)

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